原子力産業新聞

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フランス 極低レベル廃棄物処分場の処分容量拡大

26 Jul 2024

桜井久子

処分セルの容量拡大を実現した設計の変遷 ©ANDRA

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は712日、極低レベル放射性廃棄物(VLLW処分施設(CIRES処分容量拡大認可を地元であるオーブ県から取得した。

CIRESは、フランス北東部のオーブ県モルヴィリエに立地し、2003年に操業を開始。原子力施設の解体や、低レベルの放射性物質を扱う非原子力サイトで発生した廃棄物、放射性物質で汚染されたサイトの除染により発生した廃棄物を処分する。今回の認可により、処分面積を増やすことなく、当初認可された処分容量65m395m3に拡大する。

CIRESは、同じくANDRAが管理運営する、オーブ低中レベル放射性廃棄物処分場(CSA)に近接。CSAは原子力発電所と同様、原子力施設に分類され、原子力安全規制当局(ASN)による規制の対象である。一方、CIRESのようなVLLW処分場は、廃棄物の放射能レベルが低いため、原子力施設ではなく環境保護指定施設となり、県知事の委任により地域圏環境・整備・住宅局(DREAL)が建設及び操業に係る許認可や規制を実施する。県知事による認可決定にあたっては、環境庁を含む関係省庁による審査、一般市民と地元当局が参加する共同調査も実施されている。

CIRESのサイト面積は46 ha3つの処分エリア(第1、2、3トレンチ)でのVLLW受入を設計し、認可された。毎年、約3m3のVLLWが粘土質状の土壌に掘られたトレンチに処分され、第1トレンチはすでに満杯。2023年末までに処分量は、全体の許容量である65万m372%に達している。今後数年間の搬入予測によると、2028年~2029年頃には許容量に達する。国の放射性物質・廃棄物管理計画のもとで、代替の管理方法が検討されているとしても更なる処分容量が必要となる。ANDRAが発表した放射性物質・廃棄物国家目録では、現在稼働中の原子力施設の解体中に、210m3230m3のVLLWの発生が予測されている。

これを受け、ANDRA20234月上旬、オーブ県に処分容量の拡大を申請。第3トレンチの開発と設備工事費用は、2,100万ユーロ(35億円)と見積もられている。20254月から作業を開始し、第2トレンチの運用が終了する前、2028年には最初のセルの運用を開始したい考えだ。

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