原子力産業新聞

海外NEWS

ロシア、国内外で運転・建設中の原子力発電所におけるコロナウイルス対策でさらなる警戒強化

31 Mar 2020

A.リハチョフ総裁 ©ロスアトム社

ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は3月26日、新型コロナウイルスによる感染への対応についてA.リハチョフ総裁の声明文を発表し、原子力発電所における安全確保と同社傘下の全組織の従業員およびロシア一般国民の生命と健康の防護で最優先の対策を取っていると表明した。安全性の確保はロスアトム社にとって重要な価値基準であり、従業員の健康に影響するコロナウイルス感染の世界的流行(パンデミック)など、様々な筋書きに応じて如何なる緊急事態についても常に対応策を敷いている点を強調している。

同総裁によると、ロスアトム社は現在、国内すべての原子力発電所で従業員の定期健診など複数の追加的措置を導入した。出来るだけ多くの従業員が互いに距離を置いて作業できるよう手配したほか、個人用のウイルス防護製品や保護具を大量に調達。関係する生産設備や車両を繰り返し消毒しており、すべての出張/旅行を原則キャンセルとした。また、従業員の健康状態については、施設が立地する地元当局との緊密な連携によりモニターしている。

同総裁はまた、多くの国でコロナウイルスによる感染が拡大しているものの、輸出原子炉を建設中の国のすべてで同様の措置を取っていると説明。作業員を防護するため建設サイトでは最も厳しい対策が敷かれており、ロスアトム社はその国の政府や疾病管理サービス当局の勧告に従っている。また、地元の当局が隔離対策や従業員の退避策を導入した場合に備えて、感染拡大防止策を強化する準備も全面的に進めている。

さらに、この健康上の危機がサプライチェーンに及ぼす悪影響を最小限に抑えるとともに、契約書に規定されたスケジュールを完璧に順守できるよう、あらゆる事前の注意対策を取っていると述べた。

ロスアトム社は現在、ロシア国内で3基の大型商業炉を建設中であるほか、2基の小型炉を搭載した海上浮揚式原子力発電所が昨年12月から試運転中。海外ではバングラデシュやベラルーシ、トルコ、フィンランド、ハンガリー、インド等で請け負った合計36基の原子炉建設プロジェクトが様々な段階に達している。

(参照資料:ロスアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月30日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

cooperation