スロバキア ロシア型原子炉への仏製燃料供給で契約
01 Aug 2024
© Slovenské Elektrárne
スロバキア政府が34%出資するスロバキア電力(SE)社と仏フラマトム社は7月23日、国内で運転する50万kW級ロシア型PWR(VVER-440)を採用するボフニチェおよびモホフチェ原子力発電所向けの長期燃料供給契約を締結した。2027年より順次、フラマトム社製の燃料を装荷する。
今回の契約締結は、2023年5月にSE社とフラマトム社が締結した了解覚書に基づくもので、スロバキアにおける燃料調達先多様化の一環。昨年8月には、燃料供給分野で長期的に協力するため、米ウェスチングハウス(WE)社と合意文書を交わしている。公益事業者として燃料供給途絶を回避し、ロシアからの輸入依存を減らすため、燃料調達先の多様化はカギであり、ユーラトム供給安全保障庁(ESA)の勧告に沿った動きである。
現在、EU域内では18基のVVERが稼働しており、100万kWe級のVVER-1000はブルガリアとチェコで各2基ずつ、VVER-440はチェコで4基、フィンランドで2基、ハンガリーで4基、スロバキアで4基の計14基が稼働中。フラマトム社は今年6月、欧州連合(EU)から1,000万ユーロ(16.2億円)の資金拠出を受け、欧州原子力共同体(ユーラトム)の研究トレーニングプログラム下で、VVER-440向けの燃料開発と供給を目的とした「Safe and Alternative VVER European(SAVE)」プロジェクトを実施中。VVER-440を運転する、チェコ電力(ČEZ)、フィンランドのフォータム社、ハンガリーのパクシュ社、スロバキア電力などの電力会社を含む欧州の17の企業・機関が参加し、燃料供給リスクの低減を目指す(既報)。
SE社は、2023年のスロバキアの総発電電力量の70%以上を賄っている。ボフニチェ(3、4号機)とモホフチェ(1、2号機)の両発電所の計4基の他、31の水力発電所を稼働、石炭火力発電所をすべて閉鎖し、脱炭素電源を100%達成した。なお、モホフチェ発電所では追加の2基(3、4号機、各VVER-440)を建設中で、3号機は2023年1月に送電を開始している。