原子力産業新聞

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シンガポール 米国と原子力協力協定を締結

02 Aug 2024

桜井久子

©SecBlinken /X

シンガポールと米国は731原子力協力協定(通称123協定)を締結した。米国のA. ブリンケン国務長官のシンガポールへの公式訪問に合わせ、V. バラクリシュナン外相との間で調印された。

本協定は米議会の承認後、2024年末までに発効する見込みで、30年間有効。輸出規制下にある米国から他国への核物質、設備、部品の輸出の他、教育・技術移転など、平和利用に限定した協力を可能にする。米国由来の部品や知的財産を含む原子力技術や設計を使用する他国とシンガポールが協力する場合にも必要となる。なお、ASEAN諸国で米国と協定を締結するのは、インドネシア(1981年発効)、ベトナム(2014年発効)の他、フィリピンとは今年7月に発効したばかりである。

米国は、過去十年間にわたり、シンガポールによる先進的な原子力技術の安全性及び信頼性への理解促進と能力開発への取組みを支援。2017年以降、米原子力規制委員会(NRC)とシンガポール国家環境庁(NEA)は原子力安全分野で協力しており、今年7月に合同ワークショップを開催している。

両国は今後、米国務省が主導する「小型モジュール炉(SMR)の責任ある利用のための基盤インフラ(FIRST)」プログラムなどの能力開発イニシアチブを通じて、SMRのような先進的な原子力技術がエネルギー需要のバランスをとりつつ、気候目標の達成をいかに潜在的に支援できるかについて、よりよく理解するため、民生用原子力協力をさらに強化する意向を示した。

本協定締結を受け、ブリンケン国務長官は、「シンガポールはクリーンで安全な原子力の更なる探求に向け、FIRSTプログラムに参加する」と自身のソーシャルメディアに投稿。バラクリシュナン外相は、「シンガポールは原子力導入を決定していないが、決定にあたっては、我々の地域状況における原子力の安全性、信頼性、経済性、環境の持続可能性について詳細な研究が必要」とし、「従来の原子力技術はシンガポールには適さないが、民生用原子力技術の進歩を考えると、いかなるブレークスルーにも後れを取らないようにしなければならない。本協定は、米国の原子力情報や技術的専門知識へのアクセスを容易にし、米国の民生用原子力専門家との交流の深化を可能にする」とその意義を強調した。

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