ルーマニア 米国との協力でSMRプロジェクトに進展
05 Aug 2024
契約調印式典 ©Nuclearelectrica
ルーマニアの国営原子力発電会社であるニュークリアエレクトリカ(SNN)と小型モジュール炉(SMR)建設プロジェクト会社のロパワー(RoPower)社は7月24日、米大手EPC(設計・調達・建設)契約企業のフルアー(Fluor)社と米ニュースケール・パワー社のSMR建設プロジェクトの基本設計の第2段階(Front-End Engineering and Design:FEED2)契約を締結した。
ニュースケール社の大株主であるフルアー社は、2023年第4四半期に完了したFEED1に引き続きFEED2を受注。FEED2の契約に基づき、プロジェクトの最新のコスト見積とスケジュール、最終投資決定(FID)に必要な設計、関連する原子力安全およびセキュリティの分析結果を提供する。
ルーマニアの首都ブカレストで開催された同契約の調印式典には、ルーマニア・エネルギ省のS. ブルドゥージャ大臣、米エネルギー省(DOE)のJ. グランホルム長官らが出席。式典では、両国間の強固な協力の継続とともに、カーボンフリーの電力需要への対応とエネルギー安全保障の強化におけるSMR技術の重要な役割が強調された。
ロパワー(RoPower Nuclear)社は、SNNが国内で米ニュースケール社製SMR「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」を建設するため、民間エネルギー企業のノバ・パワー&ガス社と合弁で2022年に設立したプロジェクト企業。ルーマニア南部ドゥンボビツア県のドイチェシュテイ(Doicesti)で13年前に閉鎖された旧・石炭火力発電所サイトに、出力7.7万kWeの「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」を6基備えた「VOYGR-6」(合計出力46.2万kWe)の建設を計画し、現在、サイト準備が進められている。本プロジェクトでは、プラント内に約200名の正規雇用のほか、建設段階で1,500名、製造・部品組立段階で2,300名の雇用を創出するとともに、年間400万トンのCO2排出削減に貢献するという。ルーマニアは、経済的で安定供給可能なクリーン・エネルギーでエネルギー自給率向上を目指す一方、SMR機器の製造や組立、運転員や専門家の教育訓練を支援するハブ(拠点)となり、中・東欧地域におけるSMR建設と運転の模範例として後続国を牽引していく方針だ。なお、本SMR建設プロジェクトは、ルーマニア政府の他、米国貿易開発庁(USTDA)からの技術支援金の交付や、米輸出入銀行(US EXIM)と米国際開発金融公社(US DFC)からの多額の金融投資など、米国政府からも多大な支援を受けている。