欧州 BWRX-300の導入目指しWG発足
06 Aug 2024
WG参加希望企業 ©OSGE
ポーランドのオーレン・シントス・グリーン・エナジー(OSGE)社は7月25日、EU加盟10か国とノルウェーにある17企業の協力を得て、GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製の小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」の展開に向け、作業部会(WG)の設置を欧州SMR産業アライアンス(European Industrial Alliance on SMRs)に申請した。
同アライアンスは今年2月に発足。2030年初頭までに欧州におけるSMRの導入を目指し、アライアンス内での作業部会を通じて、原子力サプライチェーンの再活性化を含むSMRの開発、実証、展開を可能にする環境改善を目指している。最終的には、特定のSMRプロジェクトの支援と欧州市場での展開の加速を目的としている。
OSGE社のR. カスプロCEOは、「『BWRX-300』の展開は、欧州企業が欧州で製造された主要コンポーネントを利用する機会をもたらす。EU加盟各国のアライアンスのメンバーの中から、WGに参加を希望する企業は今後増えるだろう」との見通しを語った。
WGの具体的な目標は、EU諸国における型式認証手続きの標準化、燃料などの強固な欧州サプライチェーンの共同開発、関連の人材育成、投資への適切な支援システムの構築など広範囲にわたる。「BWRX-300」の欧州展開に向けた取組みを、アライアンスのメンバー間で調整し、加速させたい考えだ。
ポーランドの大手化学素材メーカーとポーランド最大手の石油精製企業の合弁会社であるOSGE社は2023年4月、首都ワルシャワを除く国内6地点における合計24基の「BWRX-300」建設に関する原則決定(DIP)を気候環境省に申請。同省は同年12月、これら発電所に対するDIPを発給した。OSGE社は、2030年代初めにも「BWRX-300」の初号機を完成させたい考えだ(既報)。
「BWRX-300」は出力30万kWの次世代原子炉で、2014年に米国の原子力規制委員会(NRC)から設計認証(DC)を取得したGEH社の第3世代+型炉「ESBWR」がベース。発電の他、水素製造、淡水化、地域暖房などの産業用途の利用が可能だ。