英国 「SMR-300」の設計審査が次段階へ
14 Aug 2024
SMR-300の完成予想図 ©Holtec International
米ホルテック・インターナショナル社製の小型モジュール炉「SMR-300」(PWR、30万kWe)が8月1日、英国の包括的設計審査(GDA)のステップ1(GDA範囲とスケジュールの合意段階)を完了し、ステップ2(実質的な技術評価段階)に進んだ。
GDAとは英国で初めて建設される炉型に対して行われる設計認証審査で、英原子力規制庁(ONR)が設計の安全性とセキュリティの観点から、環境庁(EA)およびウェールズ自然保護機関(NRW)が環境影響の観点から英国の基準を満たしているかを、サイト特定後の建設申請とは別に評価する。米ホルテック・インターナショナル社傘下の英国法人ホルテック・ブリテン社の代表申請によるGDAは、2023年10月に開始された。ステップ1では、SMR-300の技術評価に加え、ホルテック・ブリテン社の運用準備状況についても肯定的な評価を行った。
なお、ホルテック・ブリテン社は2023年12月、SMR-300のGDAの準備のために、英政府の「未来の原子力実現基金(Future Nuclear Enabling Fund:FNEF)」から3,000万ポンド(約57億円)の補助金を交付されている。
英政府は、2050年までに原子力発電設備容量を2,400万kWまで拡大する計画を発表しており、SMR導入も謳われている。ホルテック・ブリテン社は、英国の原子力発電所新設の牽引役として2023年7月に発足した政府機関「大英原子力(Great British Nuclear:GBN)」が実施するSMRの支援対象選定コンペの最終候補の1つに選定され、現在評価中だ。
ホルテック社は英国において、米国の既存の工場を模倣したSMR-300のコンポーネント製造工場を建設すべく、サイト選定を進めている。ホルテック社によると、2011年から開発中のSMRは設計上の進化を遂げ、最新のものがSMR-300となる。2基構成のツインユニットで、所要面積はわずか0.12km2。事故時に運転員が現場を離れても安全性が保たれる特性(walk-away safe)を持つ。