リトアニア 深地層処分候補サイト77地点を特定
19 Aug 2024
GDF概念図 ©Ignalina NPP
リトアニアのイグナリナ原子力発電所は7月30日、深地層処分施設(GDF)の建設に向け、国内29の自治体において候補サイト計77地点を特定した。
リトアニアは2020年、イグナリナ発電所で発生した使用済み燃料と長寿命放射性廃棄物を最終処分することを目的としたGDFの建設プロジェクトを開始した。イグナリナ発電所が同プロジェクトの実施主体となり、同発電所のほか、エネルギー省、財務省、環境省、原子力安全検査局(VATESI)、放射線防護センター、リトアニア地質局の専門家から構成される作業部会がプロジェクトを監督する。
同発電所は初期の現地調査をリトアニア地質局、フィンランドのポシバ社、および建設コンサル、エンジニアリングの多国籍企業であるスペインのIDOM社と協力して実施。110地点の候補サイトが初期評価で検討されたが、地下水や鉱床の存在や、地域の将来構想、環境基準、地質学的要件などの観点から33地点が却下された。2047年には最終候補地の選定を行いたい考えだ。それまでに潜在的に適した地点での詳細な調査や環境影響評価(EIA)、公開協議を実施する。
イグナリナ原子力発電所(軽水冷却黒鉛減速炉=RBMK-1500×2基、各150万kWe)は、リトアニアが欧州連合(EU)に加盟する条件として2009年に閉鎖されるまで、リトアニアの電力の70%を供給していた。現在、すべての使用済み燃料は取出され、ドライキャスクに収納、少なくとも50年間使用できるように設計されたサイト内の中間貯蔵施設に保管されている。
GDFは、政府が承認した「2021~2030年原子力施設の廃止措置と放射性廃棄物管理プログラム」に規定され、GDF最終候補地の選定後、①設計(2048~2057)、②建設(2058~2067)、③操業(2068~2074)、④閉鎖(2075~2079)の4段階を計画している。現在、GDF建設プロジェクトの基本概念の開発が、ポシバ社傘下の廃棄物管理会社Posiva Solutionsの支援下で進行中。地層の適合性や、GDF設置に必要な工学的要素と技術的手法を評価、分析し、プロジェクト実施のための基本計画と予算の準備を行う。