カナダ ブルースC増設でパブコメ開始
23 Aug 2024
ブルース原子力発電所 ©Bruce Power
カナダの環境影響評価庁(IAAC)と原子力安全委員会(CNSC)は8月12日、オンタリオ州のブルース原子力発電所増設に係る初期プロジェクト概要(Initial Project Description:IPD)に対するパブリックコメントを開始した。同発電所を運転するブルース・パワー社は2023年10月、周辺住民や環境等への増設計画の潜在的な影響評価(Impact Assessment=IA)手続きの開始と、将来的にサイト準備許可(LTPS)を申請する方針について、IAACとCNSCに書簡で正式に伝えており、今回のパブリックコメントはIA手続きの一環。
ブルース・パワー社は、ヒューロン湖畔にある既存サイト内の932ヘクタールのスペースでブルースCの最大480万kWeの増設を計画している。同サイト内では、ブルースA(1~4号機)とブルースB(5~8号機)の各サイトで80万kWe級のCANDU炉が運転中。IAACとCNSCは現在、先住民族と一般市民に対し、9月12日までにIPDの概要をレビューし、提案されたプロジェクトに関するフィードバックを提供するよう呼びかけている。
なお、ブルース・パワー社はIPDの中で、ブルースCで検討している採用炉型として、加アトキンス・リアリス社の新型CANDU炉のMONARK、フランス電力(EDF)のEPR、日立GEニュークリア・エナジー社のABWR、米GE・日立ニュクリアエナジー(GEH)社の小型モジュール炉(SMR)であるBWRX-300、米ウェスチングハウス(WE)社のAP1000を挙げているが、今後、進行中の技術評価プロセスや、先住民族や地域社会との連携活動の中で変更される可能性があるとしている。
ブルース・パワー社は、ブルースCプロジェクトのIA手続きに約3~4年、IAの承認とLTPS取得に2028年~2031年の約3年間、建設許可取得ならびに建設と試運転期間に2031年~2045の約14年を見込む。採用炉型にもよるが、運転期間は60年~100年間を想定している。
2023年7月、オンタリオ州政府は、州の経済成長に向けたクリーンな長期的電力システム構築計画「Powering Ontario’s Growth」の中で、ブルース・パワー発電所での増設に係る開発前段階の準備作業を支援すると発表。今年2月、カナダ連邦政府はブルースCプロジェクトの実行可能性調査(FS)を支援するために5,000万加ドル(約53.7億円)を拠出すると発表している(既報)。連邦政府は2050年までに電力需要の倍増を予測、現在の電力設備容量を今の2.2~3.4倍にする必要があるとし、原子力プロジェクトをタイムリーで予測可能かつ責任ある方法で実施することを支援していく考えだ。
なお、ブルース・パワー社は増設計画と並行して、既存炉の運転期間延長に向け、蒸気発生器や圧力管等の主要部品交換(MCR)を主とする大規模改修プロジェクトを実施中。3~8号機を対象に2064年まで既存施設の運転期間を延長する計画だ。1、2号機はすでに改修済み。2020年1月に始まった6号機の改修工事は予定より早く2023年8月に終了、同年9月に営業運転を再開した。現在、3号機の改修中で、残る4、5、7、8号機の順で改修工事を進め、2033年までに完了させる予定。ブルース発電所による発電電力量は現在、オンタリオ州の総発電電力量の約30%を占めている。