原子力産業新聞

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米国 ATF燃焼度の引上げを国内初承認

26 Aug 2024

桜井久子

ATF対応の炉心設計 ©Westinghouse Electric Company

米ウェスチングハウス(WE)社は815日、米原子力規制委員会(NRC)から、同社製事故耐性燃料(ATF)であるEncore燃料の燃焼度制限引上げの承認を取得した。国内で初承認となる。燃料効率の向上、燃料交換間隔の延長により、運転コストの削減に貢献する。

米国のPWRは現在18か月サイクルで運転されており、この新しい高燃焼度燃料によって供給バッチサイズを小さくすることが可能になり、燃料サイクルの経済性が改善される。米国で初めて62,000MWd/tの燃焼度制限を超えた燃料装荷が可能となり、将来的には24か月サイクル運転になることが期待される。

WE社は、今回の燃焼度引上げの承認が、2012年に同社が開始したATF開発プログラムにとって重要なマイルストーンと強調する。同プログラムには、米エネルギー省(DOE)が資金拠出。米国のエネルギー安全保障と気候目標の達成支援のため、原子炉性能と安全性を向上させることを目的としている。

WE社のEncore燃料は、既存燃料よりもはるかに厳しい条件下で耐性を持つ。炭化ケイ素燃料被覆管の融点は極めて高く(2,800℃以上)、水との反応が少ないため、特にジルコニウム燃料被覆管が1,200℃を超えると水素と熱の生成反応が著しくなるのに比べ、過酷事故条件下で画期的な安全性を発揮するという。また、同社はジルコニウム-蒸気反応も抑制する代替被覆管材料であるクロムコーティングジルコニウム合金も開発している。

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