中国 大型炉11基の新設を承認
28 Aug 2024
広西白龍原子力発電所の完成予想図 ©SPIC
中国国務院の常務会議は8月19日、5サイトで、11基の新設を承認した。なお、「安全確保は原子力発電の発展の生命線。原子力発電の安全技術水準とリスク防止の能力を絶えず向上させ、全分野にわたり安全監督管理を強化、原子力業界の長期的かつ健全な発展を促進しなければならない」と強調した。
今回承認された新設11基は、以下の通り。
■中国核工業集団公司(CNNC)
江蘇省 徐圩原子力発電所第1期プロジェクト計3基(PWR=「華龍一号」(HPR1000)×2基、各120.8万KWe、HTGR「HTR-PM600S」×1基、66万kWe)
■中国広核集団(CGN)
山東省 招遠原子力発電所1、2号機(「華龍一号」(HPR1000)×2基、各121.4万kWe)
広東省 陸豊原子力発電所1、2号機(PWR=CAP1000×2基、各124.5万kWe)
浙江省 三澳原子力発電所3、4号機(「華龍一号」(HPR1000)×2基、各121.5万kWe)
■国家電力投資集団(SPIC)
広西チワン族自治区 広西白龍原子力発電所第1期プロジェクト1、2号機(CAP1000×2基、各125万kWe)
CNNCの徐圩原子力発電所第1期プロジェクトは、中国が独自開発した第3世代の加圧水型炉と第4世代の高温ガス炉を連結した世界初の原子力発電所となる。原子炉、蒸気タービン発電機、加熱システムを含む統合運転方式を採用。主に工業用熱(高温蒸気)供給に焦点を置き、余剰熱エネルギーを電力供給に転用する。加熱負荷に応じて発電量を決定する運転モードの採用は初となる。第1期プロジェクトの発電所が完成すれば、近隣の連雲港石油化学工場に低炭素電源による大規模で高品質な熱を供給し、エネルギー集約型産業の脱炭素化を後押しするという。
CGNの陸豊原子力発電所では、現在、5、6号機(華龍一号、各120万kWe)が先行して建設中。今回、承認された同1、2号機で採用されるCAP1000は、米ウェスチングハウス(WE)社製AP1000の中国版標準炉モデルである。また、三澳原子力発電所では現在、1、2号機(華龍一号、各112.6万kWe)が建設中だ。CGNによると現在、承認された新設に向けて様々な準備作業を進めており、国家核安全局(NNSA)から建設許可を取得した時点で着工する予定だ。
SPICの広西白龍原子力発電所第1期プロジェクトでは、今回承認された同1、2号機が建設されるが、後続のプロジェクトでは「国和一号」(CAP1400、153万kWe)を採用した4基の建設が計画されている。
2023年の中国における総発電電力量のうち、原子力発電シェアは約4.9%。同年の原子力発電電力量は4,065億kWhで、米国に次いで第2位である。なお、原子力発電設備容量は5,699.3万kWで、米国、フランスに次ぎ、第3位。