フランス フラマンビル3号機が初臨界達成
05 Sep 2024
フラマンビル原子力発電所。一番手前が3号機(EPR)。©EDF
フランス電力(EDF)は9月2日、フランスの原子力安全規制当局(ASN)の承認を受け、フラマンビル3号機(欧州加圧水型炉=EPR、165万kWe)の起動操作を開始、3日に初臨界を達成した。
25%の出力レベルを達成後、送電網に接続する。初併入は今年秋の終わりまでに予定されている。その後、出力上昇試験を段階的に実施する。ASNは5月7日、EDFに対して3号機の試運転を認可。これにより、EDFは5月8日から燃料集合体241体の装荷を開始していた。
フランス北部のノルマンディー地方にあるフラマンビル発電所の1号機、2号機は各々1986年12月、1987年3月に営業運転を開始。3号機は2007年12月に着工した。原子炉建屋のドーム屋根は2013年7月、原子炉容器は2014年1月に設置された。フランス国内で初のEPR建設だったこともあり、土木エンジニアリング作業の見直しのほか、福島第一原子力発電所事故にともなう包括的安全評価の実施、原子炉容器の鋼材組成の異常(炭素偏析)、2次系配管溶接部の品質上の欠陥等により完成が大幅に遅れた。当初は2012年に完成する予定だった。
なお、完成の遅れとともに建設コストも大幅超過。EDFは2022年12月、完成時の総工費を132億ユーロ(約2.1兆円)と見積もっていたが、これは2006年5月当時の見積り33億ユーロ(約5,250億円)の4倍である。
EPRは、フランスの国外では既に稼動している。中国の台山発電所1、2号機(EPR-1750、各175万kWe)は各々2018年12月、2019年9月に営業運転を開始。続いて欧州では、フィンランドのオルキルオト発電所3号機(EPR、172万kWe)が2023年5月に営業運転を開始した。英国ではヒンクリー・ポイントC発電所の1、2号機(EPR-1750、各172万kWe)が建設中だ。
EDFはまた、2024年のフランスにおける原子力発電電力量について、当初の予測3,150億~3,450億kWhを修正し、3,400億~3,600億kWhに増加するとの見通しを示した。この増加予測は、運転停止の改善、応力腐食検査と補修作業の管理向上、および夏期に大きな気候事象がなかったためとしている。なお、2024年に入り、11基の原子炉が予定より早く送電網に再接続されたという。