原子力産業新聞

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フィンランド 最終処分場が試験操業開始

11 Sep 2024

桜井久子

最終処分場の地表施設(手前)とオルキルオト原子力発電所(後方) ©Posiva

フィンランドで世界初となる使用済み燃料の深地層処分場を建設しているポシバ社は830日、同処分場で実際の最終処分作業に先立つ、安全性確認のための試験操業を開始した。試験操業は今後数か月間実施され、計画されたプロセスに従い、機器やシステムを初めて同時に試験する。実際の使用済み燃料は使用しない。

使用済み燃料は最終処分前に約40年間冷却され、最終処分場で二重構造のキャニスターに封入される。試験操業では、地下約430mに特別に掘削された長さ70 mの坑道内にある、深さ8mの処分孔に実物大の4つのキャニスターを定置。定置後、坑道はベントナイト粘土で覆われ、コンクリート栓で密封される。なお、試験操業では損傷したキャニスターを想定し、地上に戻す試験作業も行う。地下研究施設のオンカロには、数十年にわたる研究成果である数多くのユニークなシステムと機器があり、初の共同機能テストとなる。ポシバ社のI. ポイコライネンCEOは、「最終処分場の試験操業は、当社と全世界にとって歴史的なマイルストーン」と強調している。

ポシバ社は、フィンランド国内で原子力発電所をそれぞれ運転するティオリスーデン・ボイマ社(TVO)とフォータム社による共同設立企業で、同国における使用済み燃料の最終処分事業の実施主体である。同社は2000年、フィンランド南部サタクンタ県のユーラヨキ地方にあるオルキルオト原子力発電所の近隣エリアを最終処分場のサイトに選定し、201212月には同処分場の建設許可を政府に申請。同許可を201511月に取得した後は、2016年末に総工費約5億ユーロ(約783億円)で同処分場を着工。20215月には、実際に使用する処分坑道の掘削を開始し、同年12月、最終処分場を20243月から2070年末まで操業するための許可を雇用経済省に申請した。操業許可の最終的な判断は政府が下すが、事前に放射線・原子力安全庁(STUK)が処分場の長期的な安全性評価を実施し、雇用経済相に見解を提示することが必要となる。STUKはポシバ社からの関係資料提出を受け、20225月に評価作業を開始した。雇用経済省はSTUKに対し、2023年末までに見解を提出するよう求めていたが、STUKは今年1月、操業許可申請書への見解提出の期限を、今年の年末まで延長するよう雇用経済省に要請している。

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