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韓 新ハヌル3、4号機の建設許可発給

20 Sep 2024

深澤伊弦

新ハヌル3、4号機の完成予想図©KHNP

韓国の原子力規制機関である韓国原子力安全委員会(NSSC)は9月12日、新ハヌル3、4号機(PWR=APR1400、140.0万kW×2基)の建設許可を発給した。韓国における原子力発電所の新規建設は、2018年9月に着工したセウル4号機(PWR=APR1400、140.0万kW)以来。今後、新ハヌル3号機は2032年、同4号機は2033年までの完成をめざす。 

新ハヌル3、4号機をめぐっては、韓国水力・原子力会社(KHNP)が2016年1月、NSSCに両機の建設許可申請を行ったが、当時のムン・ジェイン(文在寅)前大統領による脱原子力政策下で、2017年の「エネルギー転換(脱原子力)ロードマップ」と「第8次電力需給基本計画」に基づき、建設計画が一時白紙化されていた。2022年5月に就任したユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の現政権下で両機の新設計画が復活した。

今回の建設許可発給について、NSSCは約5年間の事業中断を加味し、建設許可に必要な書類の技術基準の適用日を最新の基準に変更して安全性を確認。NSSCは、原子炉設計の安全性のほか、建設サイト内の安全性についても審査し、その結果、安全性に影響を与えるような地震、陥没などの地質学的問題が発見されておらず、地震による津波が発生した場合でも想定される津波の高さに対し、安全を確保できる状況にあるとし、サイト内の安全は確保されていると結論付けた。 

新ハヌル3、4号機は韓国製の第3世代の140万kW級PWR設計「改良型加圧水型炉(APR1400)」を採用し、すでに運転中のセウル1、2号機(旧名称:新古里3、4号機)、新ハヌル1、2号機(旧名称:新蔚珍1、2号機)および建設中のセウル3、4号機(旧名称:新古里5、6号機)を含めると、韓国国内における7、8基目のAPR1400となる。 海外では、韓国が初めて海外に輸出したアラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原子力発電所で同設計(計4基)が採用されており、至近では4号機が9月5日に営業運転を開始し、全基が運転中となった

韓国では、国内外で原子力推進の動きが活発化しており、国内では、2024年5月、産業通商資源部(MOTIE)の諮問委員会が「第11次電力需給基本計画」の草案を発表し、そのなかで2038年までに大型原子炉3基と小型モジュール炉(SMR)1基の建設計画が盛り込まれたほか、同年6月にはユン大統領が、慶州市でのSMR産業ハブ創設計画を発表している。一方、海外では、KHNPが7月にチェコの増設プロジェクトの主契約者をめぐる優先交渉権を獲得、9月19日からユン大統領がチェコを訪問し、原子力分野の協力強化などについて協議が行われるとみられている。

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