原子力産業新聞

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「原子力導入を戦略的優先事項に。今すぐ行動を!」原産協会らが共同声明

20 Sep 2024

桜井久子

共同声明参加者組織の代表と各国政府の関係閣僚

日本原子力産業協会は919日~20日、フランスのパリにて開催された経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)およびスウェーデン政府が主催する第2回「新しい原子力へのロードマップ・ハイレベル会議」に出席。同会議に出席した各国の原子力産業団体と連名で、2050年までの炭素排出量実質ゼロ目標の達成と、第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)で署名された「原子力の三倍化宣言」を可能にする政策の大幅な拡充を要望する、共同声明を発表した。

共同声明に参加したのは、日本原子力産業協会の他、カナダ原子力協会、カナダ加圧重水炉(CANDU)オーナーズグループ、米国電力研究所、仏原子力産業協会、韓国原子力産業協会、米原子力エネルギー協会、英国原子力産業協会、欧州原子力産業協会、世界原子力協会の10団体。共同声明では、OECD加盟国の原子力産業界の決意を表明するとともに、すべての加盟国に対し、気候変動枠組条約(UNFCC)のプロセスを通じて設定した目標を達成するため、原子力発電の導入に係る明確な計画の策定の他、原子力発電へのコミットメントを示し、市場や投資家に明確なシグナルを送ることを強く求めている。

共同声明では、加盟国政府に対して、運転期間延長、出力向上などの既存の原子力発電所の最大限活用への支援や、実現可能な場合には閉鎖された発電所の再稼働の推進に加え、実績のある設計に基づく新たな原子力施設の展開の加速、大型原子炉や小型モジュール炉および革新モジュール炉を含む新しい原子力技術の開発、実証、および展開を加速するための行動を促すべき、と要望。政府が取組むべき重要分野として

  • 原子力エネルギー技術の大規模導入を促進する政策の推進
  • 原子力開発のための国内外の気候資金メカニズムへの円滑なアクセスの保証
  • 世界銀行など多国間金融機関が投資ポートフォリオに原子力発電を含めること
  • 原子力プロジェクトに対する資金調達と投資回収の仕組みの明確化とクリーンエネルギー資金調達メカニズムに原子力発電を含めること
  • 加盟国における燃料サプライチェーン強化の取組みの継続
  • 次世代の原子力科学者、技術者、および熟練した専門職の人材開発、訓練への投資
  • 加盟国における原子力研究への投資およびサプライチェーン強化の取組みの継続
  • 原子力技術の効率的な許認可および導入加速に向けた、規制面での協力拡大

を掲げている。

「新しい原子力へのロードマップ・ハイレベル会議」は、昨年初めてOECD/NEAおよびフランス政府の呼び掛けにより、NEA加盟国等の政府高官および産業界の幹部が一堂に会し、同志国が協力して原子力エネルギーの新設プロジェクトに必要なリーダーシップを再構築する機会として開催された。第2回目となる今回は、特に原子力新設に最も関心のある国々に向け、原子力ファイナンス、サプライチェーンおよび人材育成に焦点を当てた議論が行われた。また、原子力新規建設プロジェクトを成功させる能力を再構築するため、「新しい原子力へのロードマップに関する共同事業」の創設が決定。ブルガリア、カナダ、チェコ、フランス、ハンガリー、日本、韓国、ポーランド、ルーマニア、スロベニア、スウェーデン、英国、米国の13か国が正式参加の意向を表明している。

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