WANO新総裁に小早川氏 アブダビで隔年総会
03 Oct 2024
WANO隔年総会における千種直樹CEO ©WANO
世界原子力発電事業者協会 (WANO)の第17回隔年総会が9月29日~30日までアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開催され、「未来を融合:技術とネットゼロ時代における持続可能なパフォーマンス(Fusing Futures: Sustainable Performance in the Tech and Net Zero Era)」のテーマの下、35の国と地域から400名以上の原子力関係者が参集。グローバルな運転経験やベストプラクティスを透明性をもって共有するとともに、高いパフォーマンスを維持するための新たな戦略やツールについて意見交換が行われた。
WANOの千種直樹CEOは、「WANOは設立35周年を迎え、世界の原子力事業者のコミュニティを結集し、より高いレベルのパフォーマンスを達成するための取組みの継続において、互いに支え合うというコミットメントを強化した。世界では現在、約60基の原子力発電所が建設中であり、WANOは原子力の新規参入者と新技術への支援に特に重点を置いている。2015年以降、新規導入を支援する160以上のミッションを成功裏に終え、今回、ガーナ、ケニア、ポーランドを含む新規導入国からの代表者を初めて総会に迎えた」と述べるとともに、WANOの有する知識と経験を活用し、安全性と信頼性の確保によって業界の基盤の強化を目指すと結んだ。
総会には、国際原子力機関(IAEA)のR.M. グロッシー事務局長がビデオメッセージを寄せた。また今回、改訂した戦略「UNITY Towards Nuclear Excellence」を発表。WANOが今後10年間で新規原子力プラントを安全かつ確実に稼働させるための重点項目などを示している。
なお、今回の総会を機に採択された理事会決議は、原子力安全に国境はないと強調。原子力安全の維持を確実にするために、軍事紛争下で稼働するすべての原子力発電所に対してWANOが可能な限りあらゆる方法で継続的に支援するとともに、IAEAの安全への取組みへの支援の継続を約束している。また、いかなる原子力発電所も、産業界からの支援を受けられずに原子力安全を損なうことのないよう、あらゆる努力をしなければならないと再確認している。
今回の総会を最後にWANO総裁を退任するUAEの首長国原子力会社(ENEC)のM.A. ハマディCEOは、「WANOの会議がアラブ諸国で開催されるのは初めてであり、最高の国際基準に沿って開発したバラカ原子力発電所は、WANOとの固い協力関係の証だ。クリーンでベースロードとなる電力供給のため、原子力発電利用の機運が高まる中、WANOは新規原子力導入を支援する上で重要な役割を果たす」と語った。
次回の総会は、2026年に東京で開催される予定。WANOの新総裁には東京電力ホールディングス株式会社の小早川智明社長が就任した。同氏は就任挨拶の中で、福島第一原子力発電所の事故から13年が経過し、これまでに得られた教訓の共有により、世界中のプラントの安全性向上に寄与し続けることを強く望んでいるとした上で、「東京電力は最後まで、『福島第一』の廃炉作業に責任を持って取組んでいる。日本の原子力事業者は、2030年に向けたAction for Excellenceの目標達成のため、世界の原子力事業者を支援するために一丸となって取組んでいく。2026年に東京でお会いできることを楽しみにしている」と語った。