原子力産業新聞

海外NEWS

チェコ ロシア型原子炉への仏製燃料開発でMOU

07 Oct 2024

桜井久子

VVER-1000燃料集合体 © ČEZ

チェコ電力(ČEZ)は101日、仏フラマトム社と、燃料の効率性と安全性向上を目的に、ロシア型PWRであるVVER-1000の燃料開発に関する了解覚書(MOU)を締結した。

ČEZは、テメリン原子力発電所で2004年からVVER-1000×2基(各108.6kWe)を運転中。自社の原子力発電所の安全性と効率性向上に重点的に取組むと同時に、少なくとも60年間の運転を目指している。同社のB. ズロネク取締役・原子力部門長は、「チェコのエネルギー安全保障強化の最重要課題は、燃料供給確保と燃料調達先の多様化だった。次の課題は、新燃料のフラマトム社との共同開発だ」としている。ČEZは現在、ドコバニ発電所(VVER-440×4基、各51kWe)とテメリン発電所で年間約300kWhを発電、これはチェコの総発電電力量の約3分の1に相当する。

フラマトム社は、2018年からVVER-1000の独自の燃料設計に取組んでおり、202212月には、ブルガリアのコズロドイ発電所と同6号機(VVER-1000)への2025年から2034年までの10年間の燃料供給契約を締結している。

現在、EU域内では18基のVVERが稼働しており、100kWe級のVVER-1000はブルガリアとチェコで各2基ずつ、50kW級ロシア型PWRVVER-440)はチェコで4基、フィンランドで2基、ハンガリーで4基、スロバキアで4基の計14基が稼働中。国際情勢を背景にフラマトム社は、ロシア製燃料への輸入依存や関連サービスの供給中断のリスクを低減させるため、100%欧州技術によるVVER用燃料の設計開発を加速させている。フラマトム社は今年6月、欧州連合(EU)から1,000万ユーロ(約16.3億円)の資金拠出を受け、欧州原子力共同体(ユーラトム)の研究トレーニングプログラム下で、VVER-440向けの燃料開発と供給を目的とした「Safe and Alternative VVER European(SAVE)」プロジェクトを実施中だ。同社は、ロマン(フランス)、リンゲン(ドイツ)、リッチランド(米国)の3サイトで核燃料製造施設を操業している。

 

cooperation