ロシア、バングラデシュの建設サイトのロシア人にチャーター機手配
08 Apr 2020
ルプール1号機の蒸気発生器用容器 ©ロスアトム社
ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は4月7日、バングラデシュ初の原子力発電所サイトで建設工事に従事する4,000名以上の作業員のうち、新型コロナウイルスの感染拡大にともないロシアへの一時帰国を希望する178名にチャーター機を手配したと発表した。
同国では、首都ダッカの北西160kmの地点でルプール原子力発電所1、2号機(各120万kW)がそれぞれ2017年11月と2018年7月に本格着工。これらでは国際的な安全要件をすべて満たした第3世代+(プラス)のロシア型PWR(VVER)設計「ASE-2006」を採用しており、同国の原子力導入初号機となる1号機は2023年、2号機は2024年の営業運転開始を予定している。今回、下請け企業社員を含む一部の作業員が一時的に帰国するものの、建設プロジェクトをスケジュール通り遂行する上で支障はないとロスアトム社は強調している。
同工事はロスアトム社傘下のASEエンジニアリング社が請け負っており、同社の本拠地ニジニ・ノブゴロドには6日夜、ロシア連邦政府の許可を受けた最初のチャーター機がダッカから帰国希望者を乗せて到着した。これらの帰国者すべてにコロナウイルス検査が義務付けられ、その後は2週間にわたって地元の医療管理付き診療所で隔離されることになる。
発表によると、建設サイトではコロナウイルス感染の蔓延を防ぐために様々な対策が講じられている。サイトの正面玄関や事務所ビルの入口、食堂など複数の場所で作業員の体温を遠隔検温する体制を導入したほか、すべての事務所スペースを消毒、雇用者全員に対してマスクを支給した。
ロスアトム社としては、ウイルス感染の世界的拡大がサプライチェーンに及ぼす悪影響を最小限にとどめるとともに、契約書に明記された完成日程を順守するため、あらゆる手段を講じるとしている。
同社のA.リハチョフ総裁による4月1日付の声明文では、ロスアトム社関係の感染者はこれまでに4例報告されており、1名は同社がハンガリーで進めているVVER建設計画の関係者(ハンガリー人)。残り3名はロスアトム社傘下の民生用原子力発電公社の職員だが、同社が関わるすべての都市では追加的な医療措置や組織的対策が取られている。同総裁はまた、国外の原子力発電所建設計画に携わるロシア人で、一時帰国を希望する者には数日以内にその機会が与えられるとも述べていた。
なお、在バングラデシュの日本大使館によると、同国政府は感染の拡大防止目的で国際線フライトの乗り入れ停止措置を4月14日まで延長したが、対象国・地域のなかにロシアは含まれていない。また、日本貿易振興機構(JETRO)の現地通信は、バングラデシュにおける6日時点の感染者数は合計123名で、このうち12名が死亡したことを伝えている。
(参照資料:ロスアトム社の発表資料①(英語)、②(ロシア語)、原産新聞・海外ニュース、ほか)