原子力産業新聞

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カナダ企業 米国製プラントの製造サプライヤーに選定

22 Oct 2024

桜井久子

シースパン社のバンクーバー造船所 © Seaspan ULC

このほど、米ウェスチングハウス(WE)社は、カナダのバンクーバーを拠点とするシースパン(Seasupan)社を、米GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社は、モントリオールを拠点とするヴェラン(Velan)社を、それぞれ自社が開発・展開する原子力プラントのコンポーネントや部品の供給者に選定した。

WE社は1010日、同社製大型炉AP1000および小型モジュール炉(SMRAP300のカナダ国内外での展開に向けて、シースパン社とスプール配管や鋼鉄構造物などの原子炉コンポーネント製造に係る了解覚書(MOU)を締結したことを明らかにした。シースパン社は太平洋北西部で造船事業のほか、船舶修理や海上輸送を手掛けている。WE社によると、同社には大型造船および複雑な修理・オーバーホールのプロジェクト実施に関し長年の蓄積されたノウハウがあり、AP1000AP300などの大規模建設プロジェクトの要件にも合致しているという。

WE社はまた、カナダ国外で建設されるAP1000×1基ごとに、カナダの450以上のサプライヤーを活用して約10億加ドル(約1,089億円)の国内総生産(GDP)をもたらすと指摘。さらに、カナダ国内でAP1000×4基建設した場合、建設期間を通じて287億加ドル(約3.1兆円)の経済効果を生み、稼働を開始すれば、GDPが年平均で81億加ドル(約8,818億円)増加し、1.2万人もの高レベルな雇用をカナダ国内に創出すると試算している。

一方、GEH社は10月10日、GEH社製SMRのBWRX-300の初号機建設に向け、ヴェラン(Velan)社をエンジニアリングサポートとバルブのサプライヤーに選定したことを明らかにした。ヴェラン社は発電、化学および石油化学などの分野で使用される産業用バルブの製造会社。オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は、BWRX-300×4基の建設を同社のダーリントン原子力発電所の隣接サイトで計画中で、初号機の着工に先立つ事前準備作業はすでに完了している。カナダ原子力安全委員会(CNSC)から建設許可が発給されれば、2025年に着工、2029年末までに営業運転を開始する予定。4基の完成は2034年の予定で、GEH社とヴェラン社は初号機のほか、残り3基へのバルブ供給の協力も視野に入れている。

GEH社は、ヴェラン社との協力によってカナダの原子力サプライチェーンがさらに強化され、同国に経済的利益がもたらされると強調。ヴェラン社を戦略的サプライヤーとして位置付け、BWRX-300の世界展開を目指すとともに、引き続きカナダのサプライヤーと協力する機会を模索するとしている。

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