原子力産業新聞

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ウラン濃縮事業者 生産拡張へ

23 Oct 2024

桜井久子

ウレンコ社 米ニューメキシコ州にある濃縮工場
© Urenco

英国に本拠地を置く濃縮事業者のウレンコ社はこのほど、米ニューメキシコ州ユーニスにある同社の濃縮プラントの拡張プロジェクトの一環として、最初の新型遠心分離機を設置。また仏オラノ社は、フランス南部のトリカスタン・サイトにあるジョルジュ・ベスⅡ(GB-Ⅱ)濃縮工場の拡張工事を開始した。背景には、脱炭素化やロシア製原子燃料への依存の回避、エネルギーセキュリティの強化を要因とする、世界的な原子力発電への評価の高まりを反映した、濃縮役務の需要増がある。

ウレンコ社の米ニューメキシコ州にあるプラントは、北米で唯一稼働する商業用ウラン濃縮施設。同社は1010日、生産能力を約15%増とする約700tSWU/[1]SWU(Separative Work … Continue readingの拡張プロジェクトを発表しており、今回増設した遠心分離機による濃縮ウランの生産は、2025年に開始予定。ウレンコ社によると、同プラントの2023年の生産は4,400tSWU/年で、生産能力をさらに10,000tSWU/年規模まで拡張できるスペースとライセンスがあり、市場ニーズに応じて、米国での生産能力をさらに拡大する用意があるとしている。同社は英国、ドイツ、オランダでも濃縮プラントを所有・操業するが、米国のプラントで最初の拡張プロジェクトを実施し、2027年の完成後、国内外向けに供給し、燃料サプライチェーンを強化する計画である。現在の拡張計画では、ドイツとオランダのプラントを含め、3プロジェクトで合計1,800tSWU/年規模が追加される見込み。

一方、仏オラノ社は1010日、所有・操業するジョルジュ・ベスⅡ(GB-Ⅱ)濃縮工場の拡張工事の定礎式を開催した。既存の14基の遠心分離モジュールに4基を増設し、生産能力を30%以上、2,500tSWU/年規模を拡張する計画で、その投資額は約17億ユーロ(約2,776億円)。増設した遠心分離機による生産を2028年に開始し、フル生産を2030年に予定している。GB-Ⅱ工場は2011年に遠心分離による生産を開始、2016年には7,500tSWU/年のフル生産能力に達した。ジョルジュ・ベスI工場は、ガス拡散によるウラン濃縮を実施していたが、2012年に閉鎖されている。

なお、今年9月には、オラノ社の米国法人であるオラノUS社がウラン濃縮施設の建設候補地として、テネシー州オークリッジ市を選定している。

脚注

脚注
1

SWU(Separative Work Unit)は、ウランを濃縮する際に必要となる仕事量の単位(分離作業単位)。例えば、100kWeの原子力発電所で1年間に必要となる濃縮ウランの仕事量は、約120tSWU

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