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フィンランドのTVO、OL3の燃料装荷許可を申請

09 Apr 2020

オルキルオト3号機(PWR、172万kW) ©TVO

フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は4月8日、オルキルオト原子力発電所で建設中の3号機(OL3)について、燃料の装荷許可を放射線・原子力安全庁(STUK)に申請したと発表した。

建設プロジェクトの最新スケジュールでは、2020年6月に燃料を装荷した後11月に送電を開始、2021年3月から営業運転入りすることになっていた。しかし、新型コロナウイルスによる感染の拡大にともない、建設サイトではプロジェクトへのリスクを最小限に留める膨大な対策作業を実施中。この対応により、建設プロジェクトの進行状況には不透明感が増してきており、工事を請け負った仏アレバ社と独シーメンス社の企業連合はTVOに対し、2020年6月の燃料装荷が難しくなり定常的な発電の開始も遅延する可能性を伝えている。

同企業連合はパンデミックの拡大状況や影響が判明し次第、OL3の完成スケジュールを更新する方針。プロジェクト完了まで資金が十分確保されるよう、関係機関から支援を受けつつ取り組むプランを作成中だとしている。

TVOの燃料装荷許可申請書には、装荷前にサイトで必要とされる作業などOL3の準備状況が盛り込まれており、STUKの審査は数か月を要する見通し。残っている機能試験の結果分析や原子炉の性能確認結果等に基づいて、燃料の装荷許可が発給される予定である。

OL3の建設工事は2005年8月、世界で初めて欧州加圧水型炉(EPR)設計を採用して始まったものの、初号機であるが故に規制関係文書の確認作業や土木工事、品質検査等に予想外の時間を費やした。同炉の完成は当初、2009年に予定されていたが、フィンランド政府が同炉に運転認可を発給したのは2019年3月のことである。

TVOは最終的にOL3に対する総投資額を約55億ユーロ(約6,508億円)と見積もったが、同企業連合とのターンキー契約額は約30億ユーロ(約3,550億円)。2018年3月に両者が結んだ包括的な和解契約により、同企業連合は工事の遅延にともなう超過コストおよび損害賠償金として、TVOに合計4億5,000万ユーロ(約532億円)を支払うことが決定している。

仏国で初めてEPR設計を採用したフラマンビル3号機の建設工事も、原子炉容器鋼材や主蒸気配管溶接部の品質問題等により完成が遅れている。一方、同じ設計で2009年と2010年に中国でそれぞれ着工した台山1、2号機については、建設工事が比較的順調に進展。それぞれ2018年12月と2019年9月に営業運転を開始している

(参照資料:TVOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)

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