原子力産業新聞

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IAEA SMRに関する初の国際会議を開催

28 Oct 2024

桜井久子

IAEA主催SMR国際会議  © IAEA

国際原子力機関(IAEA)が主催する小型モジュール炉(SMR)とその応用に関する初の国際会議がウィーンで1021日~25日に開催された。SMRのサプライヤーや規制関係者など約100か国から1,000人以上が集まり、世界のSMR活動を評価し、新たな課題と機会について議論した。

IAEAは同会議を、大手テック企業から海運業界や鉄鋼業界まで、脱炭素化の目標達成を目指すあらゆる企業にとって、SMRをあらゆる角度から検討するのに最適な場と位置付けている。

会議冒頭、R. グロッシー事務局長は「SMRは原子力において、最有望で、エキサイティングで、必要とされる技術開発の一つであり、現実なものになりつつある。クリーンエネルギーの未来を実現する上で原子力の導入を加速する必要があるが、SMR は産業の脱炭素化、経済の活性化に貢献できる」と強調。そして世界の大手テック企業が、低炭素エネルギーによって生成AI(人口知能)やその他の科学イノベーションを推進するためにSMRに注目し、開発途上国にもSMRの利用を検討する国が増えていると指摘。SMRの導入支援の強化に向けてIAEAが開設したSMRプラットフォームを通じて支援及び専門知識を提供するほか、SMR導入には資金調達が極めて重要になることから、国際金融機関に対し、従来型およびSMRのような新型炉への投資を促していると言及した。

オープニングセッションでは、ガーナのK. メンサー・エネルギー省次官、米原子力エネルギー協会(NEI)のM. コースニックCEOから基調講演が行われた。会議の開催期間中には、4つの主要テーマ(①SMRの設計、技術、燃料サイクル、②法規制の枠組み、③安全性、セキュリティ、保障措置、④SMRの展開を促進するための考慮事項)に関するパネルディスカッションやポスターセッションが行われ、SMRの可能性について議論した。

なお、1021日、原子力の調和および標準化イニシアチブ(Nuclear Harmonization & Standardization Initiative:NHSI)の第3回年次総会が開催された。IAEAは2022年、先進炉、特にSMRの世界展開には、迅速かつ効率的に、また開発者がスケールメリットを達成するために、標準化された設計が複数の国において認可され、かつ安全に導入されるための各国間の調和された規制アプローチが不可欠であるため、同イニシアチブを創設。同イニシアチブは、規制トラックと産業トラックの別個でありながら補完的な2つのトラック構成により、各国を支援する。前者は、原子力安全と国家主権を損なうことなく、加盟国間の規制協力を強化し、取組みの重複を回避して効率を高め、共通規制の作成を促進することを目標とし、後者は、SMR の開発、製造、建設、運転のより標準化されたアプローチの開発に焦点を当て、認可手続き、コスト、展開の所要時間の短縮を目指している。今回の総会では、各トラックの作業の進捗状況をレビューし、ワーキンググループが提案する多くの推奨事項を実施するという次の段階に移行することとなった。

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