米DOE オクロの燃料製造施設の概念設計を承認
29 Oct 2024
アイダホ国立研究所(INL)の施設で使用済み燃料をリサイクルし、オーロラ発電所の燃料を製造 ©INL
米エネルギー省(DOE)は10月15日、米国で先進炉開発を進めるオクロ社のマイクロ炉「オーロラ」向け燃料製造施設の概念安全設計報告書(CSDR)を承認した。
今回の承認は、先進的な燃料リサイクル技術を実証する重要なステップ。なお、DOEは今年1月、同燃料製造施設の安全設計戦略(SDS)を承認している。オクロ社は、引き続きアイダホ国立研究所(INL)と協力して施設設計を完了し、建設開始前にDOEの承認を得る予定。
この燃料製造施設はINL敷地内に設置される。1964年~1994年にINLで稼働していた実験増殖炉EBR-IIの使用済み燃料から高濃縮ウランを回収、低濃縮ウランと混合・希釈してHALEU[1]U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウランとし、燃料を製造する。オクロ社は、初の商用オーロラ発電所をINL敷地内に2027年に設置し、製造した燃料を装荷する計画だ。
INLは電気化学プロセスを使用して、2028年12月までにEBR-II燃料から約10トンのHALEUを回収する計画。オクロ社は、2019年に競争入札で獲得したINLとの契約により、内5トンのHALEUの利用が可能である。DOEはHALEUの使用中も使用後もその所有権を保持する。
「オーロラ」はHALEU燃料を使用する液体金属高速炉のマイクロ原子炉で、電気出力は0.15~5万kW。少なくとも20年間、燃料交換なしで熱電併給が可能なほか、放射性廃棄物をクリーン・エネルギーに転換することもできる。DOEは2019年12月、先進的原子力技術の商業化を支援するイニシアチブ「原子力の技術革新を加速するゲートウェイ(GAIN)」の一環として、INL敷地内で「オーロラ」の建設を許可。これを受けてオクロ社は翌2020年3月、原子力規制委員会(NRC)に「オーロラ」初号機の建設・運転一括認可(COL)を申請したが、NRCは、審査の主要トピックスに関する情報がオクロ社から十分に得られないとして、2022年1月に同社の申請を却下した。オクロ社は同年9月、「オーロラ」の将来的な許認可手続きが効率的かつ効果的に進められるよう、NRCとの事前協議を提案する「許認可プロジェクト計画(LPP)」をNRCに提出している。
脚注
↑1 | U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン |
---|