仏フラマトム製事故耐性燃料 ボーグルで運転サイクルを完了
30 Oct 2024
使用前のGAIA E-ATF集合体の目視点検© Framatome
仏フラマトム社は10月22日、同社の改良型事故耐性燃料(Enhanced Accident Tolerant Fuel: E-ATF)を使用した燃料集合体がこのほど、米サザン・ニュークリア社がジョージア州で運転するA.W.ボーグル原子力発電所の2号機(PWR、122.9万kWe)で18か月間の運転サイクルの最終の3回目を完了したと発表した。
サザン・ニュークリア社は、先行試験用の燃料集合体(LFA)4体を2019年4月に原子炉に装荷、4年半(54か月)にわたる運転後、フラマトム社の支援を受けて取り外し、検査した。燃料は期待された結果と優れた性能を示していると判断され、これによりE-ATF LFAコンセプトの評価は終了。フラマトム社は今後、商業化に向けたライセンス取得の取り組みに活用する予定だ。
フラマトム社は、米エネルギー省(DOE)が福島第一原子力発電所の事故後に開始した「事故耐性燃料開発プログラム」に参加している。産業界からは同社のほかには、GEベルノバ社の傘下企業であるグローバル・ニュークリア・フュエル社、ウェスチングハウス社などが参加している。4体のLFAは、米エネルギー省(DOE)の資金援助を受けるフラマトム社のPROtect E-ATFプログラムの一環として、ワシントン州リッチランドにある、フラマトム社の燃料製造施設で製造された。同プログラムは、世界の5タイプ6基の原子炉で実施された実績がある。GAIAとよばれるPWR用の高性能で堅固な先進的な燃料集合体は、同社製の最新鋭ジルカロイ合金製被覆管「M5」に先進的なクロムコーティングを施し、クロミア添加燃料ペレットを使用した4本の先行試験用の燃料棒を含む。クロムコーティングにより、高温耐酸化性を向上させ、万一の冷却喪失時の水素発生を低減する。また、この革新的なコーティングは、デブリ・フレッティングに対する耐性を高め、通常運転時の燃料破損の可能性を低減するという。