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英国 南ウェールズにマイクロ炉4基を建設へ

05 Nov 2024

深澤伊弦

PWR-20の発電所完成予想図 ©Last Energy

米国のマイクロ炉開発企業のラスト・エナジー社は1015日、ウェールズ南東部のブリッジエンドに産業向けマイクロ炉(2kWe)を4基建設すると発表した

建設予定地は旧・石炭火力発電所の跡地で、ラスト・エナジー社は既に現地調査を開始している。計画では、2027年までに最初の1基を建設する。4基合わせて、英国の約24万世帯の年間消費電力量に相当する電力を供給するほか、ウェールズ政府の2030年までの公共部門におけるネットゼロ達成目標に貢献する。建設費は3億ポンド(約598億円)の見通し。同社は、地元調達率を少なくとも10%確保する計画で、地元サプライヤーとの契約は3,000万ポンド(60億円)以上となり、100人以上の地元雇用が創出される見込みだ。

ラスト・エナジー社は、2019年に米国の研究機関であるエナジー・インパクト・センター(Energy Impact Center)からスピンオフした企業で、従来の原子力発電所建設プロジェクトが抱える時間面・コスト面の課題を解決することをめざしている。同社の開発したマイクロ炉「PWR-20」は、大量生産を前提としたモデルで、数十のモジュールから構成されており、工場での製造、輸送、サイトでの組立てを24か月以内に完了できるという。同社の公式発表によると、同社は英国のほか、ポーランドなど欧州全体で80基以上の商業協定を締結しているが、そのほとんどが英国だという。 

ラスト・エナジー社の子会社であるラスト・エナジーUKCEOM.ジェナー氏は、「今回のプロジェクトは、旧・石炭火力発電所サイトをクリーンエネルギーの拠点に変えるだけでなく、南ウェールズの企業に経済的機会を創出する」と強調している。

今後、ラスト・エナジー社は製造、組立て、メンテナンスなどの各分野で、今回のプロジェクトに参加する地元サプライヤーを募集するとともに、地域住民への理解活動を積極的に展開するとしている。

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