カナダの住民投票 使用済み燃料処分場受入れに賛成
08 Nov 2024
サウスブルース自治体における住民投票の結果公表© Nuclear Waste Management Organization
加オンタリオ州南西部のサウスブルース自治体は10月21日~10月28日に、国内の原子力発電所から発生する使用済み燃料の深地層処分施設受入れの是非を問う住民投票を実施。51.2%が受入れに賛成した。投票率は69.3%。
カナダでは、原子力発電所の使用済み燃料を再処理せずに深地層処分する方針であり、カナダの核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は深地層処分場建設に向け、2010年からサイト選定プロセスを開始した。NWMOは2002年に設立され、カナダの中・高レベル放射性廃棄物の安全かつ長期的管理を任務とし、使用済み燃料の深地層処分場の立地点を模索している。
処分場の受け入れに関心を表明した22自治体は、潜在的な適合性評価、サイト評価、環境影響評価などを経て、最終的にオンタリオ州北西部のワビグーン・レイク・オジブウェイ・ネーション(WLON)–イグナス地域と、同州南西部のソーギン・オジブウェイ・ネーション(SON)–サウスブルース地域の計2地点に絞り込まれた。イグナス自治体は今年3月、NWMOと受入れ合意書を締結。賛成多数の住民投票を経て、イグナスの議会は7月、サイト選定プロセスへの参加継続をNWMOに正式に表明している。サウスブルース自治体は今年5月に受入れ合意書を締結、10月には住民投票を実施するとしていた。NWMOは、地層処分プロジェクトは自治体や地域住民、先住民が十分な情報を得た上で受入れに意欲のある地域でのみ進められるとしており、先住民地域のWLONやSONとも緊密に協力を続け、プロジェクトが彼らのコミュニティに適しているかどうかを検討していくとしている。
NWMOは2022年6月、2地点とも処分場を建設できる技術的な見通しがあるとの結論を示した技術報告書を取りまとめている。NWMOは周辺の住民や環境の安全が確保されるだけでなく地元コミュニティに利益がもたらされることを確認した上で、年内に1地点に絞り、正式な協定を締結する方針である。
サイトの最終決定後、NWMOは影響評価と許認可手続きを含む規制プロセスに入る。影響評価は、カナダ環境影響評価庁 (IAAC) と原子力安全委員会 (CNSC) が主導。一般市民も、地層処分プロジェクトが住民の健康と環境、安全、セキュリティを保護するための厳格な規制基準を満たしているか確認できるようにされている。NWMOは2033年には建設許可を取得、建設作業を開始し、2040~2045年に処分場の操業を開始したい考えだ。