ルーマニア チェルナボーダ増設で米/加/伊企業と契約
26 Nov 2024
COP29における契約調印式 © Ansaldo Energia
ルーマニアのエネルゴニュークリア(EN)社は、アゼルバイジャンのバクーで開催されていた第29回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP29)の会期中の11月15日、米・加・伊の企業から構成される合弁事業会社と、ルーマニアのチェルナボーダ原子力発電所3、4号機(CAUDU-6、各70万kWe級)建設に向けたエンジニアリング・調達・建設・管理(EPCM)の LNTP(Limited Notice to Proceed:限定的な着手指示通知)フェーズ契約を締結した。
EN社は、ルーマニア国営原子力発電会社のニュークリアエレクトリカ(SNN)が全額出資する、チェルナボーダ原子力発電所3、4号機のプロジェクト企業。合弁事業会社FCSAは、米フルアー(Fluor)社が主導、米サージェント&ランディ(Sargent & Lundy)社、加アトキンス・リアリス(AtkinsRéalis)社、 伊アンサルド・ヌクレアーレ(Ansaldo Nucleare)社が参加し、チェルナボーダ発電所3号機および4号機の建設プロジェクトの最終投資決定(FID)に必要な情報をEN社に提供する。具体的には、エンジニアリング・建設計画、最新のコスト見積もりとスケジュール、予備的な原子力安全評価報告書とエンジニアリング文書などを作成する。
EPCM契約期間は推定9年間。EPCMは、今回の契約対象であるLNTPフェーズ(24~30か月)とそれに続くFNTP(最終的な着手指示通知)フェーズ(80~84か月)の2段階から構成されている。FNTPは、ルーマニア政府とSNN間の支援契約に沿って、商業条件がさらに精査・合意され、FIDを行うことを条件に実施予定。EPCMの契約額は32億ユーロ(約5,145億円)規模。なお、加政府は本契約実施にあたり、30億加ドル(約3,270億円)の輸出金融支援を行っている。
契約の調印式には、ルーマニアのS. ブルドゥージャ・エネルギー相と米国のJ. グランホルムDOE長官も出席。本契約調印を受け、SNNのC. ギタCEOは、「専門性と国際認知度の高いパートナー企業とチェルノボーダ発電所3、4号機の建設プロジェクトに取組めることを光栄に思う。両機の稼働により、ルーマニアのクリーンエネルギーに占める原子力シェアが66%となり、脱炭素化における原子力の重要な役割を改めて示すことになる」と同プロジェクト実現の意義を語った。
SNNが運転するチェルナボーダ発電所では、1、2号機(CANDU-6、各70万kWe級)がそれぞれ1996年、2007年に運転開始。ルーマニアの総発電電力量に占める原子力シェアは約20%(2023年実績)。3、4号機は1984年~1985年にかけて着工したが、1989年のチャウシェスク政権崩壊によって建設工事は中断し、現在は保全中。土木工事は3号機で52%、4号機で30%が完了しているが、両機とも主要機器は設置されていない。建設プロジェクトの再開により、約19,000人の雇用が創出され、両機が稼働すると原子力シェアは33%に達し、年間2,000万トンのCO2削減が見込まれるという。