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米国 パイクトンでの濃縮ウラン生産能力を拡大へ

02 Dec 2024

桜井久子

米国遠心分離プラント(ACP) HALEU 製造実証カスケード
© Centrus Energy Corp.

米セントラス・エナジー社は1120日、オハイオ州パイクトンにある米国遠心分離プラント(ACP)におけるウラン濃縮事業の大規模な拡大に向け、テネシー州オークリッジにある同社の施設で遠心分離機の製造を再開させるため、今後18か月で約6,000万ドル(約90億円)を投資することを明らかにした

セントラス社は最近、顧客から20億ドル以上の低濃縮ウラン (LEU) の条件付き購入契約のほか、米エネルギー省(DOE)からHALEU[1]U235の濃縮度が520%の低濃縮ウラン濃縮再転換を目的とした2種の契約を締結している。なお、大規模な濃縮事業の拡大には、顧客からの委託や民間資本に加えて、数十億ドル規模の官民パートナーシップによる投資が必要であるとの考えを示している。

セントラス社のA. ベクスラーCEOは、「米国産技術によるサプライチェーンを構築して信頼性の高い燃料供給を確保、次世代炉の展開を支援し、国家安全保障上、濃縮ウラン生産拡大を迅速に実行できる態勢を整えることが重要だ」と語り、今回の投資によって、米国のウラン濃縮能力の大規模拡大と海外への依存低減に向けた数十億ドル規模の官民による投資が促進されることへの期待を示した。

セントラス社の遠心分離機は、オークリッジにある敷地約4万㎡の技術製造センターで独占的に製造されており、米企業14社の主要サプライヤーと数十の小規模サプライヤーが製造を支えている。米国で現在、商業操業する濃縮プラントは、ニューメキシコ州ユーニスにあるウレンコ社(本社は英国)のプラントのみで、その遠心分離機はオランダで独占的に製造。ウレンコ社は同プラントの生産能力を約15%増とする拡張プロジェクトを実施中であり、仏オラノ社も遠心分離法による濃縮施設の建設に向け、建設候補地にテネシー州オークリッジ選定したばかりだ。

米国では、ロシア産低濃縮ウラン(LEU)の米国への輸入を禁止した「ロシア産ウラン輸入禁止法」が今年8月から施行されているほか、DOEが国内のウラン濃縮能力の強化、商業用核燃料の供給源多様化や安定供給を狙いとして27億ドル(約4,050億円)を拠出するなど、燃料のサプライチェーン強化に向けた動きが活発化している。

セントラス社は、2024年と2025年に米国顧客への納入を確約している低濃縮ウラン(LEU)について、DOEよりロシア産LEUの輸入禁止の免除を得ていたが、ロシア政府は11月14日、ロシア産濃縮ウランの米国への一時的な輸出制限を。同決議は2025年12月末まで有効とされており、セントラス社は対応に追われている。

脚注

脚注
1 U235の濃縮度が520%の低濃縮ウラン

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