スウェーデン 低中レベル廃棄物の処分場の拡張工事を認可
09 Dec 2024
SFR完成予想図。青い箇所が拡張部分。奥に見えるのが、稼働中のフォルスマルク原子力発電所© SKB
スウェーデン放射線安全機関(SSM)は11月29日、低中レベル廃棄物処分場(SFR)の拡張工事を認可した。スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB)が申請していたもので、同処分場はフォルスマルクに立地している。
SKBは、スウェーデンの原子力発電所を所有・運転する電力会社が共同出資して設立した会社。SFRはSKBの最終処分システムの一部であり、既存の貯蔵施設にはスウェーデンの原子力発電所から発生する短寿命の低中レベル廃棄物のほか、医療、産業、研究分野から発生する放射性廃棄物が処分されている。将来的には、原子力発電所の廃炉に伴う廃棄物を処分するため、SKBは2014年末にSFRの拡張申請を提出。2021年12月に政府によって承認されていた。
SKBは2022年12月には、国土環境裁判所から拡張工事の環境認可を受け、地上での作業を開始。今回の許可は、2023年3月のSSMへの、予備的安全評価、システム説明、廃止措置計画を含む、拡張したSFRの建設・操業に関する申請書の提出を受けたもの。早ければこの12月中旬に掘削作業を開始する。なお、SFRの拡張部分の操業開始にあたっては、新たに安全分析報告書をSSMに提出し、承認を得なければならない。
1988年に稼働を開始した既存の処分施設は、フォルスマルク原子力発電所の沖合3km、水深約5mの海底から約60mの岩盤内に設置され、処分容量は6.3万㎥。毎年、10~20㎥の廃棄物を受入れている。拡張施設は、海底から120〜160mの深さに設置。ドーム状の6エリアから構成され、処分容量は11.7万㎥。SFRの処分容量は既存と拡張施設を合わせて18万㎥となる。拡張工事は、掘削に3年、設置に3年の合計約6年を見込む。SKBは長寿命の低中レベル放射性廃棄物の最終処分場SFLの建設も計画しているが、他のプロジェクトほど進んでいないという。