原子力産業新聞

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英国 AGRの運転期間を延長へ

12 Dec 2024

桜井久子

トーネス原子力発電所 © EDF Energy

EDFエナジー社は124日、同社が所有する4サイトで運転中の、8基の改良型ガス冷却炉(AGR)すべてを運転期間延長させることを明らかにした。原子力がクリーンエネルギーかつ極めて重要な安定した電源であり、エネルギー安全保障の強化と、ガス輸入への依存度ならびに温室効果ガスの低減に不可欠との考えによる。

延長期間はそれぞれ、ヘイシャムB-1-2号機(各68kWe1989年営業運転開始)と、トーネス12号機(各68.2kWe1989年営業運転開始)が20303月までの2年間、ヘイシャムA-1-2号機(各62.5kWe1986年営業運転開始)とハートルプール12号機(各65.5kWe1986年営業運転開始)は20273月までの1年間。当初、ヘイシャムBとトーネスの各発電所は、2021年のレビューに基づき、20283月に、ヘイシャムAとハートルプールの各発電所は、2023年のレビューに基づき、20263月にそれぞれ閉鎖される予定だった。

今回の運転期間延長は、前日123日に開催されたEDFエナジー社の役員会、取締役会、株主総会における決定によるもの。ただし、運転期間は予測であり、最終的には、原子力規制庁(ONR)が判断する。

AGRは、マグノックス炉と呼ばれる旧式なガス冷却炉(GCR)の改良型。EDFエナジー社は2009年、GCR以外の英国内すべての原子力発電所をブリティッシュ・エナジー社から取得。AGRはいずれも2023年初頭までに閉鎖する予定だった。EDFエナジー社は今後、上述のAGR4サイトにサイズウェルBPWR×1基、125kWe1995年営業運転開始)を加えた5サイトを対象に、13億ポンド(約2,600億円)を投資するという。

なお、運転期間延長は、各発電所における3,000人以上の雇用維持の他、サプライチェーンに属する数百の企業を支援するものとなる。さらに、既存の原子力発電所をより長く稼働させることは、英国が原子力部門の人材の再構築を目指す中、重要となる貴重なスキルの維持に繋がる。

また、今回の運転期間延長による総発電電力量は450kWhで、これは輸入されるガス約93億㎥に相当し、英国の2023年のLNG輸入量の20%以上にあたる。

なお、今回の運転期間延長の決定は、英国の独立系エネルギーシステム運営者であるNESOがエネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)の委託により、今年11月上旬に発表した分析「Clean Power 2030」を受けたもの。分析では、英政府の2030年までのクリーンエネルギー目標を達成する上でAGRの運転期間延長が重要であると概説している。2030年以降まで仮に、現在建設中のヒンクリー・ポイントCPWR=EPR-1750×2基、各172kWe)が稼働を開始していなくとも、小型モジュール炉(SMR)のような新世代炉が稼働を開始し、廃止される原子力発電所の容量を補い、経済の電化に伴う需要の増加に対応すると見込んでいる。

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