BWRX-300 英国GDAの次段階へ
17 Dec 2024
BWRX-300の発電所完成予想図 ©GEH
英国の原子力規制庁(ONR)、環境庁(EA)およびウェールズ自然保護機関(NRW)は12月12日、米GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製SMR「BWRX-300」(BWR、30万kWe)が、包括的設計審査(GDA)のステップ2に進んだことを明らかにした。
GDAとは英国で初めて建設される炉型に対して行われる設計認証審査で、原子力規制庁(ONR)が設計の安全性とセキュリティの観点から、環境庁(EA)およびウェールズ自然保護機関(NRW)が環境影響の観点から、英国の基準を満たしているかを、規制プロセスの早い段階から、立地サイト特定後の建設申請とは別に評価する。
ステップ1において各機関は、GDAのステップ2(実質的な技術評価段階)を開始するために必要な取決め、プロセス、提出書類を確認し、BWRX-300の技術評価の範囲とスケジュールで合意に達した。ステップ2では、BWRX-300の基本的な設計の妥当性を評価し、英国で安全、安心かつ環境を保護しながら建設、運転、廃止措置が可能かどうかを確認する。ステップ2は、2025年12月に完了する予定だ。
ONRのR. エクセレイ・BWRX-300担当の規制責任者は、「ONRは、米原子力規制委員会(NRC)と加原子力安全委員会(CNSC)双方との協力関係の構築に努めており、国ごとの設計変更を最小限に抑えて標準的な原子炉設計を維持するというGEH社の姿勢を全面的に支持する」「英国の規制当局は基本的に同じ設計を並行して審査する。GEH社が可能な限り共通の設計を維持できるよう、より効率的な規制の共有に尽力していく」とコメントした。
今回のGDAの実施にあたり、GEH社はBWRX-300に関するGDAのウェブサイトを新たに立上げ、設計に関する詳細情報とパブリックコメントのプロセスを公開している。パブリックコメントのプロセスでは、誰でも同炉型に関するコメントや質問を提出して回答を得ることができる。規制当局はこれらの質問と回答を確認し、必要に応じて、残りのGDAプロセスにおいて評価に役立てることとしている。
GEH社は2022年12月、現在のエネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)の前身であるビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)に、BWRX-300を対象とした2ステップのGDA申請書を提出した。BEIS/DESNZは規制当局の審査に先立ち、GEH社が提出したGDA申請書を事前に精査し、BWRX-300がGDA開始前の評価基準をクリアしていることを確認。これを受け、2024年1月、ONR、EA、NRWがGDAのステップ1を開始した。同月、GEH社はDESNZの「未来の原子力実現基金(Future Nuclear Enabling Fund:FNEF)」からBWRX-300の設計開発を支援する補助金を獲得。補助金はGDA申請やSMRの商業展開にむけた準備活動に充てられる。これとは別にGEH社は、原子力発電所の新設計画を牽引する新しい政府機関「大英原子力(Great British Nuclear:GBN)」が実施するSMR支援対象選定コンペに参加しており、最終選考に残った4社のうちの1社である。