米貿易開発庁 ブルガリアの原子力プロジェクトへ助成
23 Dec 2024
技術支援助成に係るBEHとの合意書の調印式。ブルガリア首相、駐ブルガリア米大使、ブルガリア・エネルギー相も出席。 © USTDA
米国貿易開発庁(USTDA)は12月13日、ブルガリアの2件の原子力プロジェクトに対する助成支援について、ブルガリアの関係機関との合意書に調印した。1件目は、ブルガリアの原子力発電所から発生する使用済み燃料の地下処分に向けた、米ディープ・アイソレーション社との実行可能性調査(FS)の実施。2件目は、小型モジュール炉(SMR)の導入に係る、ブルガリア国営のブルガリア・エナジー会社(BEH)への技術支援を対象にしている。
USTDAは、インフラプロジェクトに対する技術支援やFS、実証実験の支援等を活用し、新興国等の経済開発と米国製品・サービスの輸出の促進を通じて米国外交政策の推進を支援する米国の政府機関。ディープ・アイソレーション社は、USTDAの助成支援を得て、既存および将来の原子力発電所からの発生する使用済み燃料を地下1 km以上の深地層に処分するためのFSの実施に協力する。USTDAのE. エボン長官とブルガリアの国家放射性廃棄物取扱企業(DPRAO)のS. ツォチェフ理事長が合意書に調印した。エボン長官は、「米国の最先端技術を利用して、使用済み燃料の安全な長期処分オプションを作ることで、さらなる発電所建設への扉を開くことにもなる」と述べた。ツォチェフ理事長は、「ディープ・アイソレーション社との提携は、最先端技術を活用し、放射性廃棄物の安全な管理のために革新的で持続可能なアプローチを探求するという我々の長期的なビジョンの一歩となる」と今回の支援合意を評価した。
もう一方の技術支援では、ブルガリアが計画する1基以上のSMRの原子力発電所の導入に対し、米国製のSMRの詳細な技術的分析をBEHに提供する。これに加え、BEHが計画しているSMR発電所の建設候補地の調査や、資金調達方法など実施までのロードマップの策定も行うという。BEHは米ウェスチンングハウス社のAP1000×2基の新規建設が計画されているコズロドイ原子力発電所も含め、ブルガリアの主要な発電所を所有している。
ブルガリアのV. マリーノフ・エネルギー相は、「今回の助成支援の合意は、国民の繁栄とブルガリア経済の競争力を確保するために、予測可能で安価なエネルギーを供給するという我が国の政策を成功へ導き、最先端技術の導入を可能にするもの」と、USTDAとの合意の意義を強調した。USTDAはこれら支援を、2024年2月に締結されブルガリアの民間原子力発電プログラム開発における協力関係を定めた「米-ブルガリア政府間協定」を推進させるものと位置付けている。