原子力産業新聞

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米オクロ社 DC企業と長期電力供給で合意

25 Dec 2024

桜井久子

© Oklo and Switch

米国で先進炉開発を進めているオクロ社は1218日、データセンター・キャンパスの設計、建設、運営会社であるスイッチ(Switch)社へ2044年まで電力を供給するため、1,200kWの先進炉を導入することで合意した。

本合意は、AI(人工知能)により増大する電力需要をクリーンで持続可能な電力で満たす協力体制の枠組みを確立するもの。プロジェクトの進捗に応じて、個別に拘束力のある電力購入契約(PPA)を締結し、米国全土のスイッチ社のデータセンターにオクロ社の開発するマイクロ炉「オーロラ」発電所を建設・運転し、電力を供給する。

オクロ社のJ. デウィット共同創設者兼CEOは、「今後20年間に、先進炉の導入規模の拡大に向けた財務およびインフラモデルを開発し、開発から展開、規模拡張まで、スイッチ社とともに取り組んでいく。スイッチ社との提携により、初期のオーロラ発電所の開発が加速されるだけでなく、今後数十年にわたる顧客需要が加速的に拡大していく」と指摘した。

オクロ社は、生成AIを用いたテキスト生成サービスである「Chat GPT」を開発した、米オープンAI社のS. アルトマンCEOが会長を務め、取締役には米国のトランプ次期大統領にエネルギー省(DOE)長官に指名されたC. ライト氏が名を連ねる。オクロ社はオーロラ発電所による発電電力の供給取引について、既にエクイニクス社の他、米国内の複数のデータセンター関連企業と基本合意書(LOI)を締結している

オーロラはHALEU燃料を使用する液体金属高速炉のマイクロ炉で、出力は顧客のニーズに合わせて1.5万~5kWeの範囲で調整が可能。少なくとも20年間、燃料交換なしで熱電併給が可能である。米エネルギー省(DOE)は201912月、先進的原子力技術の商業化を支援するイニシアチブ「原子力の技術革新を加速するゲートウェイ(GAIN)」の一環として、アイダホ国立研究所(INL)敷地内でオーロラ発電所の建設を許可。これを受けてオクロ社は翌20203月、原子力規制委員会(NRC)にオーロラ初号機の建設・運転一括認可(COL)を申請したが、NRCは、審査の主要トピックスに関する情報がオクロ社から十分に得られないとして、20221月に同社の申請を却下した。オクロ社は2025年にもCOLの再申請をする準備を進めている。

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