パキスタン チャシュマ5号機を着工
07 Jan 2025
© Embassy of the People's Republic of China in the Republic of Pakistan
パキスタンのチャシュマ5号機が12月30日に着工した。同機は、中国核工業集団公司(CNNC)製の「華龍一号」(PWR=HPR-1000、110万kWe)を採用。パキスタンではカラチ2、3号機もCNNC製の華龍一号を採用しており、それぞれ2021年5月、2022年4月に運転を開始している。なお、カラチ2号機は、中国国産の華龍一号の初輸出プロジェクトである。
チャシュマ5号機の着工を受け、パキスタンのS. シャリフ首相は、パキスタンと中国の戦略的協力における新たなマイルストーンであると自身のソーシャルメディアで表明。初コンクリート打設の式典に出席した、A. チョードリー計画・開発・特命相は、両国の持続可能な開発とエネルギー安全保障への取り組みを再確認するものだと強調した。同式典には、パキスタン原子力委員会(PAEC)のA. アリ委員長、姜再冬・駐パキスタン中国大使、CNNC張凱副総経理らも出席した。
PAECとCNNCは2017年11月、チャシュマ5号機の建設協力に係る協定を締結。2023年6月には、PAECとCNCCは総額48億ドル(約7,570億円)の建設契約を締結した。翌7月、シャリフ首相の指揮の下、起工式が挙行されている。PAECは2024年4月、パキスタン原子力規制庁(PNRA)に建設許可を申請、PNRAは関連する国内および国際基準に準拠した規制要件に照らし徹底的な審査評価を行い、12月26日に建設許可を発給した。建設ピーク時には直接ならびに間接的に4万人の雇用創出が見込まれている。華龍一号は、中国が知的財産権を有し、国内外展開を目指す第三世代炉。設計上の運転期間が60年、運転サイクル期間は18か月、安全系に動的と静的両方のシステムを組み合わせ、格納容器は二重構造。CNNCは、国際的に最も厳しい安全基準をクリアしているとうたっている。
パキスタンでは現在6基の原子力発電所が運転中で、総発電電力量に占める原子力シェアは17%。政府の「原子力ビジョン2050」に基づいて、2050年までに合計約4,000万kWの原子力発電所建設を目指している。しかし、カシミール地域の帰属問題を巡って長年インドと対立しており、インドと同じく核不拡散条約(NPT)に加盟していない。欧米の原子力先進国から技術面、資金面の支援が得られないなか、中国はこれらの両面でパキスタンに支援を提供しており、すでにチャシュマ発電所の1~4号機ではCNNCの協力により、30万kW級PWR(CNP300)が運転中である。カラチ発電所1号機(CAUDU炉、13万kWe)はカラチ2号機の運転開始後、2021年8月に閉鎖された。