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カザフスタン 燃料集合体製造がフル稼働

16 Jan 2025

桜井久子

ウルバFA社の製造施設  © Kazatomprom

カザフスタンの国営原子力企業カザトムプロム社は16日、東カザフスタン州ウスチカメノゴルスクにある燃料集合体(FA)製造工場「ウルバ-FA」の年間製造能力が202412月末までに設計容量の200トンに達したことを明らかにした

同工場は、202111月に操業開始。3年以内に設計上の生産能力到達を目指すスケジュールで、計画的に増産してきた。同工場を操業するウルバ-FA 社には、カザトムプロム社傘下のウスチカメノゴルスクにあるウルバ冶金工場(UMP)が51%、中国広核集団有限公司(CGN)傘下のウラン資源開発企業である中広核鈾業発展有限公司(CGNPC URC)が49%出資しており、同工場は実質的に中国の原子力発電所専用のFA製造施設となる。200トンは、原子炉6基の再装荷に必要な燃料量に相当。同工場は中央アジアで唯一の原子力発電所用燃料製造施設でもある。

同工場が製造したFAはカザトムプロム社とCGNが結んだ協力契約に基づき、CGNPC URC 向けに全量(年間200トン)を20年にわたり供給することとなっている。なお中国向け初出荷は202212月に実施されており、2023年以降も出荷されている。

同工場のFA製造技術は仏フラマトム社から移転されたもので、フラマトム社は「AFA 3G型燃料集合体」の製造ライセンスとともに、主要な製造機器やエンジニアリング文書、関連人材等を提供。一方、FAの構成要素である燃料ペレットは、カザフスタン産のウランを原料にUMPで製造している。

カザフスタンは世界最大のウラン生産国で、旧ソ連時代からウラン原料の輸出だけでなく燃料加工が重要な産業となっている。燃料ペレットは、ソ連時代よりUMPで主にロシア向けに製造・出荷されていたが、ソ連崩壊後、核燃料サイクル産業の高度化に必要な燃料集合体の製造技術の習得を志向していた。

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