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ベトナム 原子力分野におけるロシアとの協力関係を強化

21 Jan 2025

桜井久子

ベトナムのファム・ミン・チン首相とロスアトムのA. リハチョフ総裁の会談
Ⓒ Viet Nam Government News

ロシアのM. ミシュスチン首相によるベトナム・ハノイの公式訪問に同行した、ロシア国営原子力企業ロスアトムのA. リハチョフ総裁は113日、ベトナムのファム・ミン・チン首相と会談した。双方は原子力発電開発だけでなく、原子力科学技術分野においても協力と支援を継続し、ベトナムの社会経済の発展に貢献することで合意した。

ファム・ミン・チン首相は会談の中で、原子力発電分野の科学者や専門家の育成、ダラット原子力研究所における研究炉の設計と運用、がんの診断と治療のための放射性医薬品の供給など、ロシアのベトナムへの長年の協力と支援を高く評価。ロスアトムに対し、ベトナムの原子力技術部門の人材育成と技術移転を支援するよう要請した。

リハチョフ総裁は、ロスアトムは、原子力発電所の建設、近代的な原子力科学技術センター(CNST)の設立、技術移転、ローカライゼーション、原子力科学と産業の発展の実現に向けて、長期的にベトナムに協力と支援を行う用意があると述べ、ベトナム側の期待に応えた。

14日には、ベトナムとロシア両首相の立会いの下、ベトナム商工省傘下のベトナム電力公社(EVN)とロスアトム傘下のロスアトム・エネルギー・プロジェクト社(REP)との間で原子力発電分野における協力に関する了解覚書が調印された。REP社は大型炉からマイクロ炉までロスアトム製の原子炉を扱っており、世界市場での商業展開を目的に設立されている。

2024年1125日、ベトナム共産党中央委員会(CPV)は、国家エネルギー安全保障の確保のため、ニントゥアン原子力発電プロジェクトを再開する政府提案に合意。1130日、第15期第8回国会でニントゥアン原子力発電プロジェクトを再開するという政府提案が承認された。201611月、国会は、国の経済状況を理由にニントゥアン原子力発電プロジェクトの中止を決定していた。

ベトナム政府は110日、原子力発電所建設プロジェクトの運営委員会を設立。同委員会委員長を首相、副委員長を副首相兼外相と商工相が務める。委員会は、ニントゥアン原子力発電プロジェクトの実施に責任を負い、原子力開発に関する法制面、原子力発電プログラムの研究と策定を指揮する。なおEVNは、政府から同プロジェクトの投資家に任命されている。委員会の初会合が115日に開催され、首相はニントゥアン原子力発電所の建設を5年以内に完成させるという目標を提示。党創立100周年にあたる2030年までに原子力発電所を建設するための各年のロードマップと作業を決定したという。

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