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米国 インド原子力関係機関に対する規制を撤廃へ

21 Jan 2025

桜井久子

インド工科大学デリー校で講演する、サリバン国家安全障問題担当大統領補佐官
Ⓒ Indian Institute of Technology Delhi

米商務省の産業安全保障局は115日、インド原子力省(DAE)傘下の3研究開発機関・公営企業を貿易取引制限リストから削除した。エネルギー安全保障のニーズと目標を共有する両国間の共同研究開発や科学技術協力などの先進エネルギー協力への障壁を減らし、原子力の平和利用協力および関連する研究開発の推進がねらい。

同リストから削除されたのは、DAE傘下のインディラ・ガンジー原子力研究所(IGCAR)、バーバ原子力研究所(BARC)およびインド希土類公社。米国のJ. サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官は16日、インド工科大学デリー校で講演。インドの主要な原子力機関と米国企業との間の民生用原子力協力を実質妨げてきた長年の貿易規制を撤廃するための必要な手続きが最終段階に入っていることを明らかにしていた。

サリバン大統領補佐官は、「J. ブッシュ前大統領とM. シン前首相は20年前に民生用原子力協力のビジョンを打ち出したものの、我々はまだそれを完全に実現できていない」「平和的原子力協力への取組みを共有する戦略的パートナーとして、これまでの協力の歩みを継続していく」と述べ、貿易規制撤廃による両国間の民生用原子力協力促進への期待を示した。

貿易規制の背景にはインドによる1974年の核実験の実施がある。核実験実施を契機にそれまで初期のBWRCANDU炉の導入に協力してきた米国やカナダなどが原子力協力を停止。さらに国際的な輸出規制のための原子力供給国グループ(NSG)が設置されたため、インドは原子力関係の資機材や技術の輸入ができなくなり、ウラン燃料、重水、原子炉関係機器などの調達から、建設・運転・保守の技術に至るまで国産で賄わざるを得なくなった。その後、インドが核実験モラトリアムの継続をはじめ、核不拡散に協力する姿勢を見せたため、米国は大規模な原子力開発計画を持つインドでの商機を狙い、2005年に対印原子力政策を転換。20088月には国際原子力機関(IAEA)理事会が保障措置協定案を承認、同9月にNSGは核不拡散条約(NPT)未加入のインドに対する民生用原子力協力を容認(インド例外措置)し、翌10月に米印間で原子力協力協定(通称123協定)が締結され、原子力協力が進められてきた。

なお、インドの原子力損害賠償制度は、海外の原子炉ベンダーにも一定の賠償責任を盛り込んでおり、技術協力の障害となっていたが、インドは20162月に原子力の損害賠償の補完的補償に関する条約(CSC)を批准し、海外ベンダーのインド進出が容易になった。同年5月、インドはNSGへの加盟を申請。米国はインドのNSG加盟を支援している。これらの動きを受け、インド東海岸のアンドラ・ブラデシュ州のコヴァダが米ウェスチングハウス社(WE)製のAP1000×6基の建設サイトに選定され、現在、サイトの準備作業とWE社との建設計画の協議が進行中である。

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