フラマトム社、ロシア最新鋭の原子力発電所建設プロジェクトに安全保護システム納入へ
15 Apr 2020
4月上旬に行われたクルスクII-1号機用タービン建屋の枠組み組み立て作業 ©ロスエネルゴアトム社
仏国のフラマトム社は4月8日、ロシアにおけるクルスク原子力発電所Ⅱ期工事の1、2号機(各125.5万kWのPWR)建設計画に対し、デジタル計装・制御(I&C)安全システム「TELEPERM XS」45台で構成される保護システムの納入契約を、ロシアのルスアトム・オートメテッド・コントロール・システムズ(RASU)社から受注したと発表した。
これは2018年5月、RASU社を傘下に収めるロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社が、仏国の原子力・代替エネルギー庁(CEA)と結んだ「原子力平和利用分野における戦略的連携の強化合意書」に基づいている。RASU社はI&C系供給や電気工事を専門とするロシア企業だが、この合意にともない同社とフラマトム社はI&C系分野で双方が利益を得られるよう、国際的なロシア型PWR(VVER)の建設計画やフラマトム社の原子力発電所建設計画にお互いが参加する枠組みの構築等で協力覚書を締結していた。
クルスクII-1、2号機は、第3世代+(プラス)の120万kW級VVER「AES-2006」をベースに、技術面と経済面の性能をさらに最適化したという最新設計「VVER-TOI」をロシアで初めて採用。運転期間は60年に設定されており、両炉ともそれぞれ2018年4月と2019年4月から建設を開始した。
RASU社はこれら2基の建設プロジェクトでI&C系の全体的開発と供給、起動等を担当しているほか、同発電所に330kVのガス絶縁型開閉器や変圧器も納入する。一方のフラマトム社は、「AES-2006」設計を採用してロシアで稼働中のノボボロネジII-1号機とレニングラードII-1号機にも、すでに「TELEPERM XS」を納入済み。この納入実績により今回の契約獲得に至ったと説明している。
今回の契約で、フラマトム社はクルスク発電所用にI&C系を設計・製造し、モスクワにあるRASU社の統合センターに納入する。設置と起動ではテスト室での監督サービスも提供、安全保護システムの設置が完了するのは2025年末になる計画である。
同社はまた、関係する機器・システムをロシア企業が製造可能になるよう協力する方針。フラマトム社でI&C系の販売を担当する上級副社長は、「クルスクII期工事には最高レベルの技術で貢献しており、当社とRASU社のパートナーシップは今後ますます拡大する」と述べた。またほかで建設中の新しいVVERにも同社の先進的技術を提供するため、引き続き前進していきたいとしている。
(参照資料:フラマトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)