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スウェーデン 使用済み燃料最終処分場が着工

27 Jan 2025

桜井久子

最終処分場建設 地上作業を開始 © SKB

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB)は115日、フォルスマルクにある使用済み燃料最終処分場を、R. ポルモクタリ気候・環境相の立会いの下で着工した。最終処分場は2030年代に処分開始、2080年代に坑道の拡張完成を予定する。

SKBは、スウェーデンの原子力発電所を所有・運転する電力会社が共同出資して設立した会社。SKBは202410月、国土環境裁判所から、フォルスマルクに使用済み燃料の最終処分場、ならびにオスカーシャムに地上の使用済み燃料封入プラントを建設・操業を可能にする、環境法に基づく許可を取得。年明けにフォルスマルクで初期作業の開始を可能とする施行令も受けていた。

使用済み燃料最終処分場の建設には、処分が開始されるまでに10年を要し、その後、長期にわたって徐々に地下の坑道を拡張する。現在は、樹木の伐採、サイト掘削、岩石貯蔵スペースの建設、水処理施設、冷却水路に架かる橋の建設などの2年間にわたる地上での準備作業を開始したところであり、その後に地下の坑道掘削工事に取り掛かる。なお、岩盤の掘削工事を開始する前には、スウェーデン放射線安全局(SSM)による安全解析報告書(SAR)の承認が必要となる。

使用済み燃料は現在、SKBの集中中間貯蔵施設CLABに一時貯蔵されている。使用済み燃料封入プラントはCLABに隣接して建設され、完成すると両施設合わせてCLINKと総称される。発給された環境許可は、スウェーデンの12基の原子炉(現在、6基が稼働中)からの使用済み燃料に適用され、計画中の新設炉には適用されない。SKBは、約12,000トンの使用済み燃料を含む約6,000体のキャニスターを最終処分場で処分する。最終処分場の操業期間を約70年と計画するが、既設炉の運転期間延長に応じて、延長される可能性もある。

最終処分場の地表部分の総面積は0.24㎢。使用済み燃料キャニスターは19億年前の地下岩盤約500mの深さに定置され、2080年代の坑道完成時の全長は66km、地下の占有面積は3~4㎢を想定する。建設にあたり、230万㎥の岩石が掘削される見込みである。

SKBは123日、フォルスマルク原子力発電所の沖合3kmの海底で操業する、短寿命の低中レベル廃棄物処分場(SFR)の拡張工事を正式に開始し、海底下45mの岩盤を掘削した。既存の貯蔵施設にはスウェーデンの原子力発電所から発生するフィルター、工具、衣類などの他、医療、産業、研究分野から発生する廃棄物が処分されている。拡張工事は将来的に、原子力発電所の廃炉に伴う廃棄物を処分するためのもの。

1988年に操業を開始した既存の処分施設は、水深約5mの海底から約60mの岩盤内に設置され、処分容量は6.3万㎥。拡張施設は、海底から120160mの深さに設置。ドーム状の6エリアから構成され、処分容量は11.7万㎥。SFRの処分容量は最終的に18万㎥となり、年間3,000㎥の廃棄物受入が可能になる。2075年に閉鎖予定。拡張工事は岩盤掘削作業に3年、拡張施設の設置に3年の合計約6年を見込む。スウェーデン放射線安全機関(SSM)は202411月、SFRの拡張工事を認可していた。

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