米国 閉鎖したデュアン・アーノルドの運転再開を申請
03 Feb 2025
閉鎖前のデュアン・アーノルド発電所© NextEra Energy Resources, LLC.
米大手電力会社でフロリダ州に本拠地のあるネクストエラ・エナジー社は1月24日、2024年第4四半期の決算説明会の中で、経済性を理由に永久閉鎖したデュアン・アーノルド原子力発電所(BWR、62.4万kWe)の運転再開に向けて、米原子力規制委員会(NRC)に許認可の変更を要請したことを明らかにした。同発電所は保存状態も良好で、運転許可が復活すれば、早ければ2028年末に運転を再開できるとしている。
なお同説明会の中で、J. ケッチャムCEOは、小型モジュール炉(SMR)の導入可能性についても言及。社内でSMRに特化したチームを立ち上げたが、SMRはいまだ技術開発や許認可の面で不確実性が高く、大規模な実現は2030年代後半になるだろうとの見通しを示した。
米国のアイオワ州にあるデュアン・アーノルド発電所は1975年2月に運転開始、45年以上の運転の後、2020年8月に永久閉鎖した。2034年2月まで、運転が認可されていたが、2018年7月、発電所所有者のネクストエラ・エナジー・リソーシズ社は顧客の電力会社であるアライアント・エナジー社と既存の電力購入契約の5年間短縮に合意し、2020年10月の閉鎖を決定した。さらに、同年8月の暴風雨で冷却塔などが損傷。原子炉自体に損傷はなかったものの、予定より2か月早く閉鎖した。
デュアン・アーノルド発電所の永久閉鎖後、2022年4月までにすべての使用済み燃料がサイト内の乾式貯蔵施設に移された。廃止措置方式は遅延解体(SAFSTOR)を採用しており、設備を安全に保管し、残留放射能の崩壊後、2075年に最終的な解体および除染活動を開始し、2080年までに作業を完了させる予定だった。
ネクストエラ・エナジー社は、傘下にフロリダ・パワー・アンド・ライト社ならびにネクストエラ・エナジー・リソーシズ社を所有。これら傘下企業を通じ、フロリダ州でターキーポイント3、4号機(PWR、各82.9万kWe)とセントルーシー1、2号機(PWR、各105万kWe級)、ニューハンプシャー州でポイントビーチ1、2号機(PWR、各64万kWe)、ウィスコンシン州でシーブルック発電所(PWR、129.6万kWe)を運転している。
米国では電力需要の増大と無炭素電源への関心の高まりから、閉鎖した原子炉を運転再開させる動きが広がっている。経済性を理由に2022年5月に閉鎖されたパリセード発電所(PWR、85.7万kW)は、現在の所有者であるホルテック・インターナショナル社が政府の融資保証の支援を受け、NRCへの運転認可の再交付申請を含め、運転再開の準備を進めている。コンステレーション・エナジー社はマイクロソフト社のデータセンターへの20年間の売電契約締結により、2024年9月、同じく経済性を理由に2019年9月に閉鎖したスリーマイル・アイランド1号機(PWR、89万kW)の運転再開を決定、NRCへの手続きを開始している。