英国 民生用プルトニウムを地中処分へ
06 Feb 2025
英エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)のM. シャンクス政務次官は1月24日、声明を発表。原子力廃止措置機関(NDA)と協力し、セラフィールド原子力施設に保管された英国所有分の民生用の分離プルトニウムを、転用を防ぐために形態を固定化し、地中に最終処分する方針を明らかにした。
同政務次官は声明の中で、「無期限の長期保管は、将来の世代に安全保障上のリスクと拡散の懸念への負担を残す。政府の目的は、この物質を手の届かない場所に置き、貯蔵中の長期的な安全とセキュリティの負担を軽減し、地層処分施設(GDF)での最終処分に適した形にする(固定化)ことである。英国の原子力遺産に対処し、将来の世代のために環境をより安全なものにするために、プルトニウムの長期的な解決策の実施は不可欠である」と述べた。
英国の民生用の分離プルトニウムは、60年以上にもわたる原子力発電所の使用済み燃料の再処理から発生したもので、セラフィールド・サイトには約140トンの分離プルトニウムが貯蔵されている。この内、約22トンは日本の電力会社が英国に使用済み燃料の再処理を委託して発生したものであり、今回発表の固定化措置の対象外となる。
保守党政権は2011年2月の公開協議の後、プルトニウムを混合酸化物(MOX)燃料として再利用を追求するものの、プルトニウム管理の代替提案にはオープンのままという予備的な政策見解を形成。なお同年8月、セラフィールド・サイトにあったMOX燃料製造工場(SMP)は十分な処理能力を発揮できなかったことや福島第一原子力発電所事故の余波を受け、閉鎖している。英国には現在、MOX燃料製造工場は存在していない。
その後NDAは、固定化と再利用のオプションを含む長期にわたる処分について最適なオプションを特定するために、技術的、経済的な観点から詳細な分析を行ってきた。この作業の結果、最も早く、確実に、プルトニウムを手の届かないところに置くための最適な方法として固定化を推奨した。今後、研究開発を継続して、最適な固定化技術を選択する。この作業の実施に関与する組織には、NDA、特にその傘下のセラフィールド社と原子力廃棄物サービス(NWS)社に加え、英国立原子力研究所(NNL)、およびより広範なサプライチェーンが含まれるという。
その後、プルトニウム処理に関する主要なプログラムへの政府承認を得て、10年後頃には、NDAとセラフィールド社がプルトニウム処分インフラの大規模な建設プログラムを開始することが期待されている。このプログラムでは、数十年にわたる設計、建設、運用期間中に数千人の熟練した雇用を創出するだけでなく、地域のサプライチェーンを大幅に強化し、インフラプロジェクトへの投資の促進が見込まれている。
NDAは長期的な固定化に向けた作業を進める一方で、セラフィールド・サイトに、プルトニウム在庫を再梱包する新たな貯蔵施設を建設中である。