カナダ OPG社プロジェクトで米BWXTと契約
07 Feb 2025
米国のBWXテクノロジーズ(BWXT)社の1月27日の発表によると、同社は加オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)のピッカリングB原子力発電所の30年間の運転期間延長に向けた改修プロジェクト、ならびにOPG社のダーリントン・サイトにおける小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」の建設プロジェクトに係る、総額10億カナダドル(約1,058億円)のコンポーネント製造契約を締結した。
BWXT社は、ピッカリングB発電所(5~8号機、CANDU炉、各54万kWe)の30年間の運転期間延長に向けた改修プロジェクト向けに、オンタリオ州ケンブリッジの原子力機器製造工場で48台の蒸気発生器を製造する。製造期間7年で、エンジニアなど250人以上の高レベルの雇用を創出するという。カナダのエンジニアリング会社であるアトキンス・リアリス社、建設大手のエーコン社の合弁企業であるCanAtom社からの受注。
ピッカリングB改修プロジェクトには、各原子炉とその関連機器(圧力管、カランドリア管、フィーダーパイプ、および蒸気発生器を含む)の主要コンポーネントの取外しと交換が含まれる。OPG社は本改修プロジェクトによる高レベルの雇用の維持と確保を含め、カナダのGDPにおいて406億ドル(約4.3兆円)の経済効果を見込む。5~8各機は1983年~1986年にかけて営業運転を開始し、計4基でオンタリオ州の電力需要の約10%をまかなっている。改修作業の完了は2030年代半ばと予定されている。なおピッカリングA(1~4号機、CANDU、各54.2万kWe)の2、3号機はすでに閉鎖、2024年10月に1号機、12月に4号機が閉鎖し、全機閉鎖されている。
当初、ピッカリングBの2024年12月31日以降の商業運転は許可されていなかったが、オンタリオ州政府は2025年以降の運転を支持し、OPG社は2023年6月、カナダ原子力安全委員会(CNSC)に2026年末までの運転期間延長を申請。CNSCは公聴会を経て、2024年10月に同機の2026年12月31日までの運転認可を発給した。OPG社は2026年末の運転を停止後、改修作業を開始する。
オンタリオ州政府は2024年1月、OPG社によるプロジェクトの開始段階において、エンジニアリングや設計作業のほか、長期調達部品の確保のため、20億カナダドル(約2,116億円)の財政支援をすると表明。OPG社は、ダーリントン原子力発電所1~4号機やブルース・パワー社が進めるCANDU炉の改修プロジェクトから得られる知見をピッカリングにも反映するとしている。
またBWXT社は、GE日立・ニュークリアエナジー(GEH)社とBWRX-300(BWR、30万kWe)初号機向けの原子炉圧力容器(RPV)の製造契約を締結した。RPVは炉心、冷却材、支持構造を含む、BWRX-300で最大のコンポーネント。BWXT社は、GEH社製BWRX-300のサプライヤーグループに初めて参加した企業であり、GEH社と2023年3月に、RPV関連のエンジニアリング解析、設計支援、製造および資機材調達の準備契約を締結している。
ダーリントン・サイトでは事前のサイト準備作業は完了しており、OPG社はCNSCからの建設許可取得後、初号機の建設を2025年後半に開始、営業運転を2029年末までに開始したい考えだ。同サイトには合計4基のSMR建設を計画している。
BWXT社は2024年4月、オンタリオ州ケンブリッジの原子力機器製造工場に8,000万カナダドル(約85億円)を投資すると発表している。オンタリオ州を含む、世界的な原子力発電需要の拡大を見込み、同工場の大型原子力機器の設計・製造施設を拡張、製造能力を増強する作業が進行中である。