2050年までに原子力発電設備容量を3倍に 大手IT企業らが誓約
14 Mar 2025
世界原子力協会(WNA)は濃縮事業者のウレンコ社と3月12日、米テキサス州ヒューストンで開催されている「CERAWeek」において、エネルギー安全保障の提供、および多様なエネルギー集約型産業の電力供給と脱炭素化における原子力の役割に焦点を当てた、セクター横断的なパネルを共催。これに合わせ、大手IT企業を含む14社が、2050年までに世界の原子力発電設備容量を少なくとも3倍に増やすという目標を支持する誓約書に署名した。
誓約書に署名したのは、Allseas、Amazon、Bureau Veritas、Carbon 3 Energy (C3E)、Clean Energy Buyers Association (CEBA)、CORE POWER、Dow、Fly Green Alliance (FGA)、Google、Lloyd’s Register、Meta、Occidental、ORLEN Synthos Green Energy (OSGE)、Siemens Energyなど、いずれも世界有数の大規模な電力ユーザーだ。
この誓約では、原子力が従来の送電網による電力供給を超えて拡大する潜在能力を有し、エネルギー利用者にとりコスト競争力のある事業運営を支える、豊富で持続的なエネルギー源であると言及。また電化率の向上、テクノロジー分野を含む幅広い経済活動、プロセス熱の供給においても、最も信頼性が高く、拡張可能でクリーンなエネルギー源であると指摘する。Meta社エネルギー部門責任者のウルヴィ・パレク氏は、同社が今回の声明を支持した理由について、「コストのかかる原子力発電所の建設という課題を乗り越えるためには、開発業者や電力会社、政府、そして電力ユーザーとの間で大規模な連携が必要だ」と指摘し、「今回の発表は、各国政府に対し原子力発電拡大のための規制緩和を促し、電力会社に対しては『電力を購入する顧客が確実に存在する』というシグナルを送る狙いもある」と説明した。
CERAWeek(3月10日~14日)は、米金融サービス企業のS&P Global社が主催する、エネルギーの未来に向けて、政策立案者やエネルギー業界全体が洞察を行う、世界的権威のある年次総会。「2050年までに原子力発電設備容量を3倍に:データセンター、精製所、製造業などへの電力供給における原子力の潜在能力の解放」と題する上記パネルでは、信頼性が高く、クリーンで経済的な原子力を、テクノロジーから石油化学、航空産業などの多様な分野において活用し、世界のエネルギー需要の増加への対応とともに、ビジネスの将来の戦略計画を支援する可能性について議論した。
WNAは、業界パートナーとともに、2050年までに世界の原子力発電設備容量を3倍に増やすという目標(現在、31か国が支持)を達成するため、原子力開発を迅速に進める政策を政府指導者に訴求している。すでに、世界140か国で原子力関連事業を手がける120社・機関も目標に向け最善を尽くすとする誓約に署名するほか、世界有数の金融機関14社がファイナンス支援の表明を行っている。脱炭素化と安定した電力供給の確保を目指す多様な業界で、原子力発電の活用への期待が高まる中、WNAは誓約への参加を呼び掛けるとともに、参加企業はさらに増えると予想している。