フランス EDFの新設6基に優遇融資へ
21 Mar 2025
フランスのE. マクロン大統領は3月17日、自らが議長を務める閣僚級の「原子力政策評議会(CPN)」を招集。フランス電力(EDF)が計画する改良型欧州加圧水型炉(EPR2)6基の建設費の少なくとも半分を国が優遇融資で支援する方針を決定した。
CPNは2022年より定期的に開催されており、フランスの原子力政策全般や各プロジェクトを短期的・長期的に管理・調整する役割を担っている。2022年2月のマクロン大統領による仏東部ベルフォールでの演説で示されたエネルギー政策目標に沿って、エネルギー複数年計画(PPE)に反映すべく、原子力再生に向けた戦略を協議している。同大統領はこの演説で、フランスのCO2排出量を2050年までに実質ゼロとし、国内の原子力産業を再活性化するため、フランスでEPR2を新たに6基建設し、さらに8基の建設に向けた調査を開始すると表明していた。
EDFは、パンリー、グラブリーヌ、ビュジェイの各原子力発電所にEPR2を計6基建設し、2038年までに初号機の試運転を計画している。今回のCPNでは、EDFのEPR2による建設プログラムの資金調達と規制スキームの主要原則を検討。建設費用の少なくとも半分を国が優遇融資で支援し、最大100ユーロ/MWhの差金決済取引(CfD)を実施することで合意した。さらにCPNはEDFに対し、コストとスケジュールの管理強化を求め、コストと期限に関するコミットメントを今年末までに提示するよう指示。2026年のEDFによる最終投資決定(FID)を視野に、今後数週間で国とEDFの間で協議をまとめ、欧州委員会(EC)の承認取得に向けた交渉を迅速に開始する方針だ。
また、世界各国で新設計画や新型炉の導入が発表される中、CPNは現在の地政学的状況におけるウラン主権の確保のため、サイクルの上流(採掘)における行動計画、特にフランスへの中長期的なウラン供給に向けて、オラノ社に対する国の支援を承認した。
使用済み燃料の取扱いについては、ラ・アーグ再処理工場でオラノ社が主導するバックエンド施設の更新・投資計画の継続を確認。既存炉や新設されるEPR2の使用済み燃料を貯蔵するため、2040年までにラ・アーグ工場で新たな貯蔵プールの操業を開始する必要があるという。
CPNはさらに、今世紀後半には天然ウラン輸入を必要としない、クローズド・サイクルを達成するためのガイドラインを確認し、研究再開に向けた準備作業を開始。プルトニウムと劣化ウランから燃料を製造し、高速炉で燃焼させた後の再処理には、大規模な技術開発が必要となるため、CPNは、燃料製造業者(EDF、フラマトム社、オラノ社)や仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)、および高速炉に係るすべての関係者に対し、今年末までに作業計画と産業組織の提案を国に提示するよう求めた。
また、2021年10月にマクロン大統領が発表した産業投資政策「フランス2030」では、2030年までに10億ユーロを投じて、革新的な小型炉の実証をめざしている。CPNは、この開発プロジェクトの第一段階が順調に進んでいることを評価。2030年初頭に実証炉の試運転につながる可能性が最も高いプロジェクトに優先順位を付け、支援を継続する権限を投資総局に与えた。なおCEAに対しては、マルクールとカダラッシュのサイトに関連するデータを要請する企業がアクセスできるようにし、同サイトで最先端プロジェクトを実施するための協議を開始するよう求めている。