原子力産業新聞

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ロシア レニングラードⅡ-4が着工

25 Mar 2025

桜井久子

レニングラード第Ⅱ発電所4号機 着工式典
Ⓒ Rosatom

ロシアのレニングラード第Ⅱ原子力発電所4号機(PWRVVER-1200119.9kW)が320日、着工した。昨年3月には、同型の3号機が着工している。

計画では、同第Ⅱ発電所の3号機、4号機を稼働させ、1980年代初めに運開した3、4号機(軽水冷却黒鉛減速炉のRBMK-1000100kW級)を閉鎖する。1、2号機(RBMK-1000100kW級)は45年の運転期間を経て、第Ⅱ発電所12号機の運転開始後の201812月と202011月に閉鎖され、現在は廃止措置の準備中である。着工式典には、ベラルーシのベラルシアン原子力発電所、エジプトのエルダバ原子力発電所、バングラデシュのルプール原子力発電所の代表者らも、オンラインで参加した。これらの発電所では、ロシア国営原子力企業ロスアトムの支援を受けて建設された、または建設中のVVER-1200を採用している。

VVER-1200はロシアが開発した第3世代+(プラス)炉で、動的と静的、2種類の安全系を持ち、コンクリート製の二重格納容器や、設計基準外事象の発生時に放射性物質の漏洩を防ぐコア・キャッチャーを備える。ロシアではノボボロネジ第Ⅱ原子力発電所12号機で先行採用・運転されている。

ロスアトムのA. ペトロフ第一副総裁(原子力発電担当)は本着工に際し、「国のエネルギーミックスにおける原子力発電の割合を増やすという主要な国家目標に向けた新たな一歩、早ければ今年中には、スモレンスク原子力発電所とコラ原子力発電所でリプレース作業を開始し、ベロヤルスク原子力発電所では第4世代の高速炉(BN-1200M)の建設に向けたエンジニアリング調査を完了する予定。今後20年間で、ロスアトムはシベリア、ウラル地域、極東において新たな建設プロジェクトに取組み、国民はクリーンなエネルギーにアクセス可能になる」と展望を示した。

ロスアトムは、露大統領の指示により、2045年までに総発電電力量に占める原子力シェアを25%にすることを目指している。ロスアトムのA. リハチョフ総裁は37日、ニジニ・ノヴゴロド州南端のサロフ市で開催された「情報Day」で、「大統領の指示により、今年は沿海地方で原子力発電所(VVER-1000×2基)の建設に取組む必要があり、早ければ2032年に送電開始する」と語った。また、今年内にはクルスク第Ⅱ発電所の1号機の営業運転を開始させるほか、海外では、トルコとバングラデシュで建設中の発電所で初併入、ウズベキスタンのSMR発電所の建設契約の実現とともに、大型炉の建設契約の獲得に努める、と語った。

さらにリハチョフ総裁は、「世界市場で競争が激化し、経済的圧力と制裁下でも、技術力を活かし、グローバル市場でのリーダーシップの強化に努めなければならない」と強調。国内市場での技術とハイテク製品および輸入代替品の不足、労働市場の競争激化、厳しい経済・金融状況という困難の中、限られたリソースを活用し、効率的に活動すると明言した。具体的には、不採算事業の見直しに加え、諸手続きのデジタル化と簡素化、人工知能の活用により、あらゆる企業機能と投資およびプロジェクト活動の質と効率を向上させるとしている。また、BRICS+およびCIS諸国との協力も継続的に発展させる考えだ。

2024年12月末に政府承認された、2042年までの原子力発電設備計画によると、ロシアでは既存および新規(シベリアや極東のような新たな地域を含む)の計15サイトで、大型炉、中型炉、小型モジュール炉(SMR)など計38基(約2,455kWe)を新設する計画。一方、運転期間を満了する原子炉の閉鎖は約1,037kWe規模である。この計画が実現すると、2042年の総発電設備容量は現在の11.7%から15.7%に拡大。総発電電力量に占める原子力シェアは、現在の18.9%から2042年に24%になると予測されている。

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