ロシアの専門家審査会、海上浮揚式原子力発電所用防護インフラの建設を承認
20 Apr 2020
© Glavgosexpertiza
ロシア建設省傘下の設計評価機関である国家専門家審査会(Glavgosexpertiza)は4月15日、極東地域北東部のチュクチ自治管区内ペベクで、昨年12月に送電を開始した世界初の海上浮揚式原子力発電所(FNPP)「アカデミック・ロモノソフ号」の水利・港湾・物理的防護の各機能を含むインフラ全体の審査結果を承認すると発表した。
施設の設計書や建設プランの工事測量結果を審査した上で、FNPPを防護する特別な機器等の保管・活用設備などをペベク海峡沿岸に建設する計画に肯定的結論を出したもの。これらの施設では具体的に、モーターボートやオフロード用の車両、小型そりといった機器を収納するほか、モーターボートを係留する固定式船渠(ドック)や雪上そり用スロープ、照明塔、配管の架台、外部の熱電供給網や通信網との接続設備等が建設される。Glavgosexpertizaの専門家はまた、これらの建設コスト見積もり額の信頼性をチェックしており、FNPPから沿岸区域の供給網に電力や熱エネルギーを確実に送る技術についても確証を得たとしている。
「アカデミック・ロモノソフ号」は出力3.5万kWの小型炉「KLT-40S」を2基搭載しており、ロシア領の約半分を占める北部の遠隔地域や、それに類する地域への熱電供給に最も適した設備と考えられている。
Glavgosexpertizaは、FNPPを建設したことはチュクチ自治管区全体のみならずペベク市にとっても非常に重要であると指摘。この区域で順次閉鎖されていくビリビノ発電所(1.2万kWのEGP-6×3基)の商業炉やチャウンスカヤ熱電併給発電所に代わってFNPPはエネルギーを供給するだけでなく、金銀や銅、非鉄金属といった資源を豊富に有するチャウン-ビリビノ産業ハブにとっても重要なエネルギー供給基盤になるとした。また、同区域で化石燃料の輸入依存度を軽減して電熱料金の増大を抑えるとともに、同区域における人口問題や環境状況など社会的条件を改善する一助にもなると説明している。
(参照資料:国家専門家審査会の発表資料(ロシア語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの4月17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)