カナダ 規制当局がSMR建設を認可
07 Apr 2025
カナダ原子力安全委員会(CNSC)は4月4日、オンタリオ州の州営電力であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社に対し、ダーリントン新・原子力プロジェクト(DNNP)サイトにおける、GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製SMR「BWRX-300」(BWR、30万kWe)の初号機の建設を承認した。
CNSCはOPG社が原子炉建設に適格であり、人々の健康と安全、環境を守りながら建設を行うと結論づけた。CNSCは建設許可の発給にあたり、2024年10月2日にオンライン上、ならびに2025年1月8日~10日、13、14日にオンタリオ州エイジャックスにて対面で開催された公聴会で受け取ったすべての意見書と見解を慎重に検討。さらに、先住民の権利についても協議の上、最大限に尊重することとしている。
建設許可は2035年3月31日まで有効。標準的な許可条件に加え、環境アセスメントのフォローアッププログラムの実施など、DNNPサイト固有の許可条件を定める。さらにOPG社に対し、安全上重要な構造物、システム、およびコンポーネントの安全解析および設計に関する規制要件の遵守を検証するため、ホールドポイントを設定し、特定の作業に着手する前にはCNSCへの追加情報の提出を義務付けている。なお、今回の建設許可では、DNNPサイトでのBWRX-300の運転は承認しておらず、運転認可の発給にはOPG社の申請後、あらためて審査が必要となる。
ダーリントン原子力発電所(CANDU炉×4基、各90万kWe級)ではOPG社が2012年8月、大型炉の増設(最大4基、480万kW)に向けてCNSCから10年間有効のサイト準備許可(LTPS)を取得した。大型炉の建設計画を中止した後、同サイトでSMRを建設する計画を進め、CNSCへの申請により、2021年10月にLTPSを10年更新した。同年12月、GEH社製BWRX-300の選定を発表し、2022年10月には、CNSCに初号機の建設許可を申請。さらに、オンタリオ州政府は2023年7月、OPG社と協力して、初号機に3基を追加した合計4基のBWRX-300をDNPPサイトで建設すると表明した。2023年10月にカナダ産業審議会が発表した調査では、SMR×4基の建設と運転・保守により、カナダのGDPを65年以上にわたり、約153億ドル(約1.57兆円)増加させ、平均して約2,000人/年の雇用をもたらすという。OPG社は2024年2月には、事前のサイト準備作業を完了させており、2028年末までに初号機を完成させ、2029年末までに営業運転を開始したい考えだ。後続機については順次、CNSCに建設許可を申請し、2030年代半ばまでに稼働させる計画である。
OPG社は、初号機の建設経験等を通じて後続機のコストの削減やスケジュールの短縮方策を模索していく方針。また、ダーリントン原子力発電所における改修工事を通じて、大型炉の建設プロジェクトを予算内・スケジュール通りに進める知見を培っており、同様のアプローチをSMR建設にも適用できると強調している。