ノルウェー政府 SMR発電所計画で環境影響評価の準備へ
23 Apr 2025
ノルウェー政府は4月8日、同国西部にあるアウレとハイムの両自治体で計画されている複数の小型モジュール炉(SMR)を備えた原子力発電所の建設に向け、環境影響評価(EIA)プログラムの策定を複数の機関に委託した。
この計画は、ノルウェーの新興エネルギー企業であるノルスク・シャーナクラフト(Norsk Kjernekraft AS)社が2023年11月に提案したもので、西部ノルウェー海側のアウレ(Aure)自治体とハイム(Heim)自治体の境界に位置する共同工業地帯のタフトイ(Taftøy)工業団地でのSMR建設を想定している。これを受け、エネルギー省、保健・介護サービス省、司法・公安省、気候・環境省の4省は、水資源エネルギー局(NVE)、放射線・原子力安全局(DSA)、国民保護局(DSB)に対し、包括的な環境影響評価(EIA)プログラム策定に向けた勧告を、遅くとも今年9月までに作成するように求めている。
ノルスク社が8日に4省から受け取った書簡によると、4省は各局との責任分担を明確化し、EIAプログラムはノルウェーの法律と国際条約を確実に遵守しなければならないと強調。影響評価の目的は、原子力法やエネルギー法、公害防止法および放射線防護法に基づく許認可プロセスにおいて、その決定に関連する十分な情報提供に資することである、と説明している。
ノルスク社は今回の決定を受け、「ノルウェーの原子力法を適用した実践的なガイドラインの策定において重要な一歩である。ノルウェーにはすでに包括的な原子力法があるが、商業用原子力発電に適用されるのは初めてである」と述べ、ノルウェーの原子力発電にとって歴史的であると評価した。
タフトイ工業団地で計画されている発電所は、最大出力150万kW、年間最大125億kWhの発電能力を持ち、運転時には最大500人の雇用を見込んでいる。
ノルスク社は、ノルウェー国内の複数の自治体や電力集約型産業と連携したSMRの立地可能性調査を実施し、SMRの建設・運転を目指している。同社のJ. ヘストハンマル会長によると、国内では原子力発電導入に向けた調査に率先して取組む自治体の数が急速に増加しているという。