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米ホルテック社、同社製SMR用の燃料調達でフラマトム社を選択

30 Apr 2020

SMR-160の完成予想図 ©ホルテック・インターナショナル社

米国のホルテック・インターナショナル社は4月28日、軽水炉方式の同社製小型モジュール炉(SMR)「SMR-160」に装荷する燃料の供給業者として、仏国のフラマトム社を選定したと発表した。

フラマトム社が広く販売している、技術面でも実証済みの燃料集合体「GAIA(17×17)」を利用するため、ホルテック社は必要となるエンジニアリング作業すべての実施契約をフラマトム社と締結。これにより同社は、新しい燃料を導入する際のエンジニアリング作業を大方削減できることになった。また、標準的なPWR燃料に「SMR-160」の炉心設計を適合させることで、ホルテック社は燃料関係で生じる可能性のあるリスクを実質的に排除。世界中の既存軽水炉で培われた燃料関係の運転経験を、同社製SMRに生かすことができる。

「SMR-160」はポンプやモーターを必要としない受動的安全系を備えた電気出力16万kWのSMRで、ホルテック社は2026年末までに初号機の運転開始を目指している。開発チームには三菱電機の米国子会社が計装・制御(I&C)系の開発で参加しているほか、米国最大の原子力発電事業者エクセロン・ジェネレーション社やカナダのSNC-ラバリン社が協力。また、ウクライナの国営原子力発電公社が同SMRをウクライナで建設するとともに、一部機器の製造については国産化を目指す可能性があるため、ホルテック社は2019年6月、ウクライナ国立原子力放射線安全科学技術センターを交えた国際企業連合を設立している。

発表によると、フラマトム社がホルテック社のSMR開発プログラムに加わったことから、同SMRの将来的なオーナーは実質的に、十分な実績をもつ燃料の国際サプライチェーンにアクセスしたことになる。燃料開発では、燃焼度の向上や中性子漏れの軽減、取り換えサイクルの(24か月まで)拡大、水化学上の難しい課題への取り組みなど、要求される条件が次第に絞り込まれていくなか、フラマトム社は「GAIA燃料集合体の開発において高い安全裕度と最適な性能の確保を保証。当社製SMRとは理想的な適合になることが実証されている」と強調した。

ホルテック社は今のところ、「SMR-160」で米原子力規制委員会(NRC)の設計認証(DC)審査を受けていないが、カナダ原子力安全委員会が提供する全3段階構成の「許認可申請前設計(ベンダー)審査」については、2018年7月からフェーズ1の審査が進展中である。

(参照資料:ホルテック社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの4月29日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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