米NY州のインディアンポイント2号機が予定通り永久閉鎖
07 May 2020
インディアンポイント2号機(左) ©エンタジー社
米国の発電事業者のエンタジー社は4月29日、ニューヨーク(NY)州南部のインディアンポイント原子力発電所で45年以上の間、安全かつ信頼性の高い発電を続けていた2号機(106.2万kWのPWR)を30日付で永久閉鎖すると発表した。国際原子力機関(IAEA)の発電炉情報サービス「PRIS」はこの後、同炉が発表通り永久閉鎖された事実を確認。米エネルギー省(DOE)のR.バランワル原子力担当次官補はこの件について、「NY市民に長期にわたって信頼性の高いクリーン・エネルギーを供給してきた2号機の閉鎖は非常に残念」とコメントしている。
NY州の公益事業委員会は2016年8月、包括的かつ意欲的な地球温暖化防止政策として、州北部に立地する3つの原子力発電所への補助金プログラムを盛り込んだ「クリーン・エネルギー基準(CES)」を承認した。しかし、NY市の北約40kmに位置するインディアンポイント発電所については、同州のA.クオモ知事が「大都市圏に近すぎる」として、かねてより早期閉鎖を要求。エンタジー社と州政府が協議した結果、2号機を2020年4月末に、同3号機(107.6万kWのPWR)を2021年4月末に永久閉鎖することで、両者は2017年1月に合意した
2、3号機はそれぞれ、1974年8月と1976年8月に営業運転を開始しており、エンタジー社は2000年から2001年にかけてコンソリディテッド・エジソン社等からこれらを購入している。これらを早期閉鎖する理由についてエンタジー社は、2017年の合意のほかに電力卸売市場における価格の低下が長期化し、今後も収益が減少する見通しであることなど複数の要因を指摘。同発電所の従業員に関しては、すでに公表済みの閉鎖計画に沿って、40名以上の希望者を同社内で配置転換すると約束している。
また、エンタジー社は2019年4月、すでに閉鎖されている1号機(28.5万kWのPWR)も含めた3基の廃止措置作業を迅速化するため、発電所のライセンスや使用済燃料、廃止措置の信託基金などをホルテック・インターナショナル社の子会社に売却すると発表。エンタジー社がこれらの原子炉を保有し続けるよりも、ホルテック社に売却した場合の方が40年ほど早く、跡地の一部を再利用のために開放できるとの見方を示した。
ホルテック社も、規制当局から廃止措置の承認を取得し2021年にライセンス等の購入取引を完了し次第、廃止措置を開始する方針。このため、カナダのSNCラバリン社と設立した廃止措置の専門企業「コンプリヘンシブ・デコミッショニング・インターナショナル(CDI)社」を通じて、同発電所従業員の中から廃止措置の第一フェーズのために選抜した者を雇用する方針を明らかにしている。
(参照資料:エンタジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの4月30日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)